タクシーに乗車されると、独特の臭いを感じたことはありませんか?
私はいつも乗務する車両は同じなので、車内の臭いは全くありませんが、その車両が古いため不具合が起きることもよくあり、修理に出していると乗れないことも時々あります。
そんなとき、他の空いている車両で乗務することになるのですが、臭いが染み付いていると、当然ですが乗り込んだ瞬間ドライバーも不快な気分になります。
ではなぜ、臭い車両とそうでない車両があるのか?
今回は、「タクシー車内の臭い」について取り上げます。
この記事に書いてあること
✅タクシー車内の臭いの主な原因や臭いが付きやすい理由などを、現役ドライバーが解説しています。
タクシー車内に臭いが染み付きやすい理由
タクシーには車内に臭いが染み付きやすい理由がいくつかあります。
キャリアに応じて優先的に車両が与えられる故のデメリット
タクシー会社により異なりますが、キャリア(勤続年数)を考慮して、優先的に同じ車両に乗れる(担当・専用の車両が与えられる)ことも多いです。
ドライバーと会社にとってのメリット
ドライバーのメリットとして、同じ車両で乗務することで、洗車や車内清掃をある程度省略することもできるため負担が軽くなり、その分乗務に専念できます。
また、会社側はその車両を優先的に与えることで管理責任を持たせて、不具合や故障が生じた際に、迅速に対応させる狙いもあります。
デメリット
その車両に同じドライバーが乗るために、加齢臭やタバコ臭が染み付きやすくなります。
特に車内の内装が布素材の車両は臭いが付きやすく取れにくい
現在のタクシー車両は都市部を中心にトヨタJPNタクシーに代替えが進んでおりますが、今でも現役で走行している車両が多いのがトヨタクラウンセダンです。
その廉価版である「コンフォート」が最も普及しているのですが、車内の内装が塩化ビニルなどのプラスティック系、シートは通発ビニールレザーで構成されているので、掃除もしやすく臭いも染み付きにくい特徴があります。
しかし、その上級仕様車である「クラウンスーパーデラック&スーパーサルーン」は、車内の内装は高級感を演出するために布素材(ニードルパンチ不織布)を多く使用しており、シートもファブリックのため掃除もしにくく臭いが染み付きやすい特徴があります。
この上級仕様車は、乗り心地も良く、多くのタクシー会社では班長クラスやキャリアの長いドライバーに与えるため、必然的に年配の方や年齢の高い方が乗務することになります。
ということは、加齢臭を持ったドライバーがその車両に乗務する可能性も高まることになり、その、「加齢臭ドライバー」がいつもその車両に乗務すると、臭いが染み付いてしまうことになります。
もちろん、クラウンコンフォートでも閉鎖された狭い空間ですから、臭いは染み付きますが、スーパーデラックス&スーパーサルーンと比較すると、まだいい方です。
タクシーの臭いの主な原因は「加齢臭」「タバコ臭」「エアコン・埃臭」
タクシー車両に染み付いている臭いの素は、主に「加齢臭」「タバコ臭」「エアコン・埃臭」です。
他にも「嘔吐臭」「汚物臭」、一時的に「焼肉屋・焼鳥屋等の飲食店からの帰り客」を乗せた後なども含めると、いくつかパターンがあります。
ひとつづつ解説していきます。
加齢臭
タクシードライバーの平均年齢は全国的に高く、年配の方も多いので加齢臭がきつい方もみえます。
臭いは様々ですが、車両に乗り込んだ瞬間に吐き気を催すような、臭いが染み付いた車両もあったりします。
接客業ですので、あまりに加齢臭がきついドライバーは、上役から注意を受けることもありますが、改善されにくいのが実状です。
タバコ臭
車内は禁煙ですので、ドライバーが喫煙者である場合、車外に出て吸うのが当たり前なのですが、煙は外に出していても車内に入ることもあります。
- 天候が悪かったりひとりでいるときなど、横着して運転席からドアや窓を開けて煙は外へ出して吸うドライバーもいます。
- 待機場所でタクシーの車列に並んでいるときに、車外に出て喫煙する場合、先頭車両から乗込みで出て行くと、車両を動かさなくてはならなくなります。
タバコの火を消したくないときは、窓やドアを開けて右手でタバコを持って煙を外に出して車両を動かすドライバーもいます。
お客様のタバコ臭の対策
例えばタクシー会社に予約をされるときに、タバコ臭のある車両やドライバーが嫌であれば、その旨をお伝えいただくと、禁煙者の車両が配車されることもあります。(タクシー会社により異なります)
エアコン・埃臭
車両によっては掃除が行き届いていないこともあります。
上述したように、車両はドライバーに専任させていると、ドライバーによっては掃除の仕方が雑であったり、エアコンのフィルターも何年と手入れしてなくても平気な方もみえます。
そのような車両は、エアコンをかけると車内で埃が舞うため、エアコン臭や埃の臭いがします。
意外に思われるかもしれませんが、シートの下は砂や埃・食べカスなどが溜まりやすく、車内掃除に気を遣わないドライバーの専任車は、とてつもなく汚れていることもあります。
嘔吐臭・汚物臭
夜お酒を飲まれている方や乗り物酔いする方、体調不良の方等で、車内で嘔吐されることもありますし、またお年寄りの方で稀に失禁される方もみえます。
吐しゃ物や汚物に関しては、嘔吐や失禁をされてしまうと営業所へ戻り掃除をしてシーツを取替えた上で、ドライバーも気分が悪くなるので、臭いも完全に除去しなければ営業できません。
よって、消臭剤や芳香剤を多量に散布することになりますが、場合によっては多少残っていることもあるかもしれません。
焼肉屋・焼鳥屋・居酒屋等の飲食店からの帰り客
特に上記の飲食店帰りで複数名乗車されると、降車された後に臭いが残りやすいです。
お客様が降車後に臭いは残りますが、染み付くほどではないのでスプレータイプの消臭剤または芳香剤をかければ、臭いはある程度取れます。
消臭スプレーでおすすめするのが、「P&G ファブリーズ MEN クールアクアの香り 370ml(本体)」です。
消臭スプレーは、ある程度の香り成分のあるものを選んだ方が、臭いは除去しやすく消臭効果もあります。
香り成分も強めで、過去いくつかの消臭スプレーを買って試しましたが、この商品が最も効果を実感できます。(個人的主観です)
まとめ:加齢臭/タバコ臭/エアコンや埃臭が多い・臭いが付きやすい車両もある・掃除が雑なドライバーもいる
最後にまとめると、
- 全てではないが、くさい車両もある。
- 臭いの素は、「加齢臭」「タバコ臭」「エアコン・埃臭」が多く、飲食店帰りの客が乗車後に、一時的に臭いが残ることもある。
- シートも含めて布素材を基調とした内装の車両は、臭いが染み付きやすく取れにくい。
- そのような車両は年配の方が乗務していることも多く、加齢臭ドライバーがそのような車両を専任車としていると、臭いが付きやすい。
- 車両は専任制にしている会社も多いため、掃除が雑なドライバーもいて、車内で埃が舞いエアコン臭や埃臭が出る車両もある。
といったところでしょうか。
今は定年で退職されましたが、以前加齢臭が凄まじいドライバーがいて、その方は班長をされていたので、上級仕様車に乗務しており、独特の加齢臭が布素材の内装に長期間に渡り染み付いて、最悪な車両がありました。その上掃除もいいかげん…。
自身の専任車が故障や不具合があったときに、たまにその車両で乗務したことが何度かありましたが、吐き気がするのを我慢して仕事をしたこともありました。
お客さんからすれば、最悪の空間であったと思います。
加齢臭などで車内が余りに臭いときは、その場で言いにくいでしょうから、タクシー会社に苦情を申し出ていただきたいのが、個人的な本音です。
なぜなら、お客さんから苦情があればGPS配車システムにより履歴に残るため、会社(営業所)として看過できないので、上役から指導が入るからです。
ですが、今まで加齢臭のきつい方を何人か見てきましたが、自分では気付かないこともありますが、他人に指摘される程くさいのを放置してきているのですから、他人の目を気にしない・どう思われても構わないという考え方の方が多いように思います。
よって、上役が注意しようが我関せずになり、聞き入れようとしない方もいます。
「タクシー車内の臭い」=「加齢臭」と結びつけると、対策としては難しい問題です…。
コメント