40代半ばで、とある地方で現役タクシードライバーをしています。30代後半で人生につまづき、会社倒産・ブラック会社へ再就職しすぐに退職、絶望感に苛まれている折、ふとしたきっかけでタクシー業界に飛び込み早5年が経過しました。
現代の日本で、人生の大事な局面で挫折する方も少なくないのではないかと思いますが、そんな中高年の方々が、人生諦めずにまだまだ生きていける職業のひとつが「タクシードライバー」です。
今回はその実体験を元に、仕事内容や年収・待遇・メリット/デメリットなど新しい職場探しとして、タクシードライバーを考えている方に向けて綴ります。
この記事に書いてあること
✅タクシードライバーに転職した理由やきっかけ
✅タクシードライバーの仕事内容や待遇・メリット&デメリット
40代にしてタクシードライバーに転職した体験談
前職は、製造業で工場勤めをしていました。倒産・廃業→無職→ブラック会社へ再就職→タクシードライバーへと職を変えました。
そして、その製造業とタクシードライバーという職業は何がどう違うのか?特に「給料・お金」にまつわる違いをまとめました。
前職について
溶接職・溶接エンジニア
工業高校卒業後、地元の大手製造メーカーの100%子会社に就職し、一言で言うと『溶接職兼溶接エンジニア』として30代半ばまで働き、順風満帆に日々を送っていました。
しかし、36歳のとき会社は親会社の意向で廃業し、その後に系列の同様の子会社を紹介されて就職するも、わずか1年で廃業。諸事情も重なり、失業し無職になりました。
ブラック会社へ再就職
しばらく失業保険で食いつなぎ、溶接に関わる職種の中小企業に再就職するものの、そこはいわゆる『ブラック会社』と感じるものでした。詳細は割愛しますが、「とんでもなく非常識な会社」で、一例を挙げると…、
同職場の同僚が仕事中にケガをしたのですが、会社は労災を認めず、怒ったその同僚は弁護士をたてて労災を認めさせました。
ところがその後、突如契約を一方的に解除すると通告され、仕事を干されたのです。
人目のつかない社屋の隅の詰所(休憩スペース)で、仕事を一切させず軟禁するという暴挙に出ました。それが3日間続き、彼は退職していきました…。
他にも…
- 部下よりも仕事ができない無能な班長からの無理なノルマ
- 班長からの嫌がらせ等
数え挙げたらキリがありませんが、全てにおいて一事が万事、そんな会社でした。。。
再就職を考え始める
いじめに近い仕打ちを受けて、まじめに仕事をすればする程嫌気がさしてバカバカしくなり、同業種への再就職も考えるのですが、零細企業の求人はあるものの、中小規模の求人はほとんどありません。
(1)2度廃業・倒産を経験したことから、何かあっていつ潰れるかもわからないような会社に再就職するのは躊躇する…。
(2)大手の子会社に長年いたので『溶接』は幅広くできますが、零細企業だとオールラウンドプレーヤーが求められ、特に機械加工(プレス・旋盤・レーザー加工等)の技量がありません。私はその分野が苦手でした。
再就職先でタクシードライバーを選択した理由
「お客さんを乗せて走る分だけお金に変わる」
これが一番の理由です。以下に製造業とタクシードライバーの比較をします。
製造業 → 仕事をしてもすぐにお金に変わりません
ある程度まじめにやって、最低限のノルマを達成していれば、正社員であれば、まず解雇されるようなことはありません。給料は支給されます。
~給料を上げるには~
〇その会社で必要な技術・技量を身につける
〇品質をキープし、効率良く量産する
〇上司と関係を構築し、評価してもらう
※年度末や賞与(ボーナス)前に、上司から評価されなければ給料は上がりません。極論、どれだけ仕事ができようが品質をキープして数を量産しようが、上司と良好な関係が築けなければ、評価などされるはずもなく収入は上がりません。その辺りは嫌というほど思い知らされました。
タクシードライバー → 仕事をすればする程、お金に変わる
~給料を上げるには~
〇時間をかけて、お客さんを乗せる(勤務時間に比例して、まじめに仕事をすれば売上は上がる)
※タクシー会社に所属していながら、各人が「個人事業主」なので、勤務時間に比例して売上は上がります。簡単に言えば「時間をかけて、お客さんを乗せる回数を増やすだけ」です。
ルートの取り方・接客方法など最低限おさえておき、極論、上司や同僚と良好な関係が構築できずとも、新人であっても給料を上げることは可能です。
タクシードライバーの仕事内容と待遇
なんとなく仕事内容はわかっているつもりでも、異業種から転職するとなると、「具体的な仕事の手順は?待遇面は?」などよくわからないことが多いと思います。そんな疑問にお答えします。
タクシードライバーの業務内容
お客さんを目的地に安全に送り届けて運賃をいただくのが、タクシードライバーの仕事です。お客さんに乗車していただく方法として、以下の5つに分類されます。
公共交通機関や病院等で待機して(順番に並んで)乗込みを待つ
駅・空港・港・大きな病院・公共施設・イベント会場・ホテル等のタクシー乗り場で待機して、お客さんに乗り込んでいただく方法。
無線配車
お客さんがタクシー会社に電話をして、迎えに来てほしい場所を指定し、配車センターから無線で指示を受けてお迎えに行く方法。最近はスマホアプリでタクシーを呼ぶこともできます。
流し営業
街中をクルマを走らせてお客さんを拾う方法です。利用者の多い都市部では一般的ですが、地方ではそもそも自家用車の所有が当たり前ですので、お客さんが手を上げて拾う慣習もあまりありません。
地方では地域にもよりますが、「流し営業」は基本的にしません。
個別でお客を持っている
自分の電話番号をお客さんに教えて、会社を通さず仕事を受ける方法。会社によっては禁止されているところもありますが、内密に行っているドライバーも少なくありません。
公休日でもお客さんから直接電話がかかってくることもあるため、適切な対応をしなければなりません。
貸切
会社が予め、時間貸切料金で時間と目的地またはコースをお客さんと協議のうえで仕事を受けて、指名を受けたドライバーがお客さんの指示に従って運行します。
例えば、1時間の貸切料金が5,000円で8時間拘束なら40,000円の売上で、目的地は○○→□□→△△→昼休憩→○○までとかになります。
ただ、貸切の仕事は、ある程度経験を積み、会社や上司から信頼を得られていないと任せてもらうことはできません。
タクシードライバーの年収や待遇
タクシードライバーの年収
一般財団法人 全国ハイヤー・タクシー連合会のデータを調べると、全国平均で300万円程と決して高くはありません。
都市部では利用者が多いため、500万円くらい稼いでいる人はザラにいると思いますが、利用者の少ない地方では、平均300万円以下の府県も少なくありません。
つまり、都市部と地方では年収に差が出ます。
タクシードライバーの待遇
給与形態
基本的に、『固定給+歩合制』で、歩合制における売上の一部は、会社の経費として納める仕組みになっています。
※歩合とは…お客さんを乗せて走った分の運賃から、給料として支給される仕組み
わかりやすく言うと、営収(売上)のおよそ半分が自分の給料になると考えて差し支えありません。
ひと月の営収(売上)が50万円 ⇒ 給料25万円 になります。
勤務形態
(1)日勤 → 朝から夕方頃まで
(2)夜勤 → 昼・夕方頃から深夜または明け方頃まで
(3)隔日勤務 → 朝から明け方頃まで(約20時間勤務)
勤務形態は、地域や会社により異なります。都市部では隔日勤務を採用している会社も多いです。また、日勤・夜勤を交代制にしている会社もあります。
40代でタクシードライバーになることについて思うこと
「タクシードライバーに転職すると、どんなメリット・デメリットがあるの?」そんな疑問にお答えします。
タクシードライバーのメリット
お客さんを乗せて走る分だけお金に変わる
年功序列など関係なく経験の有無を問わず、たとえ未経験者の新人であっても「お客さんを乗せる回数を増やす」ことで収入が上がります。
健康を維持すれば、高齢になっても働くことができる
現在は、70~75歳くらいまでは、働くことができる会社も増えています。
人間関係に悩むことが少ない
仕事中は、個人行動の時間が圧倒的に長いので、上司や同僚との人間関係に悩まされることが少ないです。
コミュニケーション能力が問われない
話下手でコミュニケーション能力が低くとも、お客さんを目的地に安全に送り届けて運賃をいただければOKですから、ある程度お客さんに合わせてコミュニケーションがとれれば問題ありません。
都市部では、頑張り次第で高給取りになれる
都市部では利用者数が多いので、頑張り次第で営収が上がり、給料にそのまま反映されて高給が取れます。
自由に休憩時間を取れる
利用者が少なくなる時間帯に休憩時間を取り、所用を済ませることもできます。例えば、銀行や郵便局に行ったり、歯科へ治療に行く、知人のお見舞いにいくなど、ある程度は許容されます。
タクシードライバーのデメリット
長時間勤務になる
会社により勤務時間は異なりますが、長時間勤務になる会社がほとんどですから、身体的に負荷がかかります。また、事故を起こせば元も子もありませんので神経も使います。
運動不足
どうしても座りっぱなしになるので運動不足になりやすく、メタボ体型の人も多いです。
乗客とのトラブル
お客さんを選ぶことはできませんので、厄介な客を乗せることもあり、トラブルになることもあります。最悪、警察沙汰になり時間をロスしたりすることもあります。
交通事故および交通トラブル
クルマを運転する以上、事故は避けて通れません。またクルマを運転する時間が長いため、一般車と交通トラブルになるリスクも増えます。
地方では年収が少ない
地方では利用者数が少ないため、都市部と比較すると必然的に売上は少ないため年収も低くなります。
乗務中は居場所が特定される
GPSにより、会社が車両の現在位置をリアルタイムで把握しているため、ドライバーの行動が筒抜けになります。
ある程度は許容されているとはいえ、公営ギャンブル場やパチンコ店などに長時間駐車して休憩を取るようなことは、誤解を招くのでやめておいた方が賢明です。
まとめ
1.ここわたがタクシードライバーに転職した理由やきっかけ
2.タクシードライバーの仕事内容
3.タクシードライバーの待遇
4.タクシードライバーになるメリット&デメリット
を実体験を元にご紹介しました。
「お客さんを乗せて走る分だけお金に変わる」『仕事をすればする程、お金に変わる』これが仕事をする上でのモチベーションになります。働き盛りの40代以上の中高年が何らかの理由で無職になり、世間の大海原に放り込まれたとき、まだまだ生きていける職業のひとつがタクシードライバーです。
お読みいただいている40代以上の中高年の皆さん、あなたもタクシードライバーになってみませんか?
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