映画「マスカレードナイト」では冒頭、木村拓哉さんと中村アンさんの二人がタンゴを踊るところからスタートし、ホテルと捜査会議の3シーンを同時進行で展開していきます。
彼女は、このシーンでの出演のみですが、一体何の役でどのような意味があったのか?
初見ではよくわからなかった方もみえるのではないでしょうか?
そこで今回は、中村アンさんの出演シーンについて、何役でどのような意味があり、伏線を張っていたのか?またこのタンゴダンスを指導したのは誰なのか?についても、原作を紐解きながら詳しく紹介していきます。
マスカレードナイト・中村アンなぜ出演?
まず、冒頭からなぜ主役の木村拓哉さんと中村アンさんのダンスから物語が始まるのか?
それは原作に沿ったシーンを再現するためで、木村さん演じる新田浩介は、父親の仕事で中学生までアメリカに住んでいた帰国子女でしたが、「欧米ではダンスができないと一人前として扱ってもらえない」と言われ、無理やり習わされていたそうで、このダンス教室のポスターを見て踊りたくなって、個人レッスンとして教わることになりました。
映画版では、捜査会議のシーンを間に挟みつつ、「アルゼンチンタンゴ」を『男性』として見事に踊り切っていましたが、原作では映画ウェストサイド物語の挿入歌で、「ONE HAND.ONE HEART」というスローワルツの定番曲を、彼女のアドバイスのもとで踊っていました。
そして、大晦日に二人で会うことを約束したところで、上司に呼び出されるという流れは、映画も原作も同じです。
マスカレードナイト・中村アンの意味ある役どころと伏線
中村アンさんは冒頭のみの出演ですが、何役でどういった意味があるのか?原作から読み解き解説していきます。
中村アンは何役?
上記でも述べましたが、中村アンさんはダンス教室のインストラクター役「奥田真由美」という名前で、原作では経営者夫妻の一人娘、年齢は30歳手前くらいという設定、冒頭のみに出演し、事件とは無関係な登場人物です。
引用元:マスカレード・ナイト
数回目の個人レッスン中に先輩の本宮から電話で呼び出され、警視庁に向かい捜査会議に出る流れになっていきます。
原作と映画版で、言い回しやセリフの長さは違えど、インストラクターの奥田は新田に好意を寄せていることや、年末に仕事に駆り出されて彼女との約束が流れてしまったことも、同様に再現されています。
タンゴを踊る意味ある伏線
原作では、冒頭のダンス教室でスローワルツを踊っていましたが、映画版ではわかりやすいように、曲調もパーティで演奏する同様のタンゴを踊り、世界観を統一させていました。
つまり、何の脈絡もなく新田が女性とタンゴを踊るシーンから始まるのは、のちに犯人と目星を付けた人物と同ダンスを踊ることで伏線回収する演出となり、中村アン演ずる奥田真由美の登場する意味付けになります。
冒頭の新田と奥田のダンスでは、まず新田が手を差し出してリードを取り、女性の奥田は足を払うように直角に膝を上げたり、片足や手を伸ばしたりして、印象的なステップをしています。
引用元:マスカレード・ナイト
パーティ会場での新田と仲根(森沢)のダンスでは、仲根が男性役としてリードを取り、新田は冒頭で奥田が踊っていたように足や手を伸ばしたりするなど、全く同じではないものの似たようなステップを踏み、最後は新田が膝を着いて仲根から見下ろされるなど、新田が女性役として踊っていることを印象付けています。
引用元:マスカレード・ナイト
タンゴを知らない人でも印象に残るようなステップを踏む演出で、伏線回収していることがわかります。
SNSを見ると、中村アンさん出演シーンの意味がわからないといった意見が、いくつか散見されていますが、わかりやすい映像やセリフではなく、ダンスの演出で伏線を張っているため、わかりにくさはありますね。
#マスカレードナイト 観てきた〜冒頭の中村アンいる?🤭
— mika☆🖇 (@buonafortuna777) October 13, 2021
マスカレードナイト見終わって
冒頭の中村アンとキムタクのアルゼンチンタンゴシーンはなんだったんだろ…てか田中みな実以上に中村アンの必要性w
って思ったww— ハル (@ha_ru06) March 20, 2022
マスカレードナイト・アルゼンチンタンゴ指導者は誰?
この作品のアルゼンチンタンゴの指導者は、エンドロールをチェックしていくと、銀座でアルゼンチンタンゴスタジオを経営されている「銀座リベルタンゴ」のサエ&ファンカルロスさんです。
HPをチェックすると、お二人は2007年アルゼンチンタンゴダンス世界選手権アジアチャンピオン、2007~2010年世界選手権本線のファイナリストで、私達と明記されていることから共同経営されているようです。
「マスカレードナイト」は、3名の演者に3か月に渡り指導し全面監修、他にも、2020年テレビ朝日スペシャルドラマ「刑事アフター5」では、尾上菊之助・星野真里・北乃きい・パパイヤ鈴木(敬称略)に指導監修、2022年同じくテレ朝「芸能人格付けチェック!お正月スペシャル!」では、アルゼンチンタンゴのコーナーで振付や監修に携わり、タンゴの魅力を多くの人に伝える活動もされています。
現在の芸能界で、アルゼンチンタンゴが絡む企画は、この方たちに指導・監修を依頼するのが通例になっているようですね。
恐らく、カウントダウンパーティで新田と森沢の周囲で何組か他にタンゴダンスを踊っている方達は、銀座リベルタンゴの講師とか関係者でしょう。
エキストラ協力として「アルゼンチンタンゴダンサー&愛好家のみなさん」でクレジットされてます。
まとめ
最後にまとめると、
- 映画「マスカレードナイト」において、冒頭に出演の中村アンさんは、ダンス教室のインストラクター役「奥田真由美」で、事件とは無関係。
- 主役の木村拓哉さん演じる「新田浩介」が冒頭でタンゴダンスを踊れる伏線を張り、クライマックスで犯人とそれを踊ることで、エンターテイメント性のある伏線回収につなげている。
- タンゴダンスを3ヶ月指導・監修したのは、「サエ&ファンカルロス」という元アジアチャンピオンで、銀座でダンス教室を営む第一人者。
といったところでしょうか。
事件とは直接無関係で、伏線を張る演出のためだけの出演でしたが、短時間とはいえそれなりにインパクトはあったのではないでしょうか?
冒頭このシーンがないと、主役の新田がいきなりタンゴをしっかり踊れるのも不自然ですし、伏線回収としても構成上良かったと思います。
映画版にハマった方は、原作も読まれてはいかがでしょうか?
ただ、こんなに広いスペースで鏡もないダンススタジオがどこにあるの?とツッコミたくなるようなところで踊ってましたね。