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マスカレードナイト映画と原作の違いは?犯人がなぜわかったのかについても

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映画

前作の、映画・マスカレードホテルが興収46億円を超え好評だったことで、同シリーズの東野圭吾氏の同名小説マスカレードナイトも、キャストや制作側も同様の布陣で映画化されることになりました。

「ホテル」以上に「ナイト」は、一捻りも二捻りもあるストーリーですが、原作ありきの映画化でその違いがあるのでしょうか?

そこで今回は、映画・マスカレードナイトと原作との違いについて、ネタバレ解説します。




マスカレードナイト原作と映画の違いは?

結論から言うと、映画版・マスカレードホテル同様、マスカレードナイトも原作を崩さずに、ストーリーとして、大筋忠実に実写化しているといっても間違いありません。

ただ、前作との繋がりやキャストに関連したこと、カットや省略したシーンや、小説ではないエンターテイメントとして原作にはない見せ方をしているところなど、映画化するにあたり原作との違いもいくつかあります。

全てではありませんが、個人的に気になったシーンや描写について、「ホテル・スタッフ」系と「警察・犯人」系の2つに分けて、スクリーンショットも交えて解説します。

 

「ホテル・スタッフ」系の違い・9選

まずは、ホテル側の違いについて紹介します。

 

山岸と氏原をロス行きで競わせ対立させる

原作では、序盤で藤木総支配人が山岸のみを呼び出し、コルテシアロサンゼルスから優秀な人材を一人欲しいと言われていることを話し、君を推薦したいから熟慮する旨を伝えられ思い悩みます。

つまり、山岸一人を推薦したいとの意向で、氏原は関係ありません。

引用元:マスカレード・ナイト

映画版では、山岸と氏原二人を呼び出し、ロスに行くことを推薦するのは一人だけだと伝え、対立構造を演出していることが大きく異なります。

新田がなぜ彼らが険悪な雰囲気なのかと、他のフロントクラークに尋ねていることも、それを視聴者に強く意識させています。

ホテルマンとして感情を表に出す人間味のある山岸と、決して感情に流されず仕事のできる優秀な氏原、上層部はどちらを選ぶのか?

原作とは異なるテーマを、ストーリーの中で同時進行で演出しているのが、映画版の面白いところです。

 

山岸の腕時計が遅れている伏線回収の違い

原作では、「腕時計の伏線」は山岸ではなく新田で、冒頭の合同捜査会議で、本宮の隣に座った彼が付けているオメガの時計を見て、狂ってるんじゃないかといじられます。

また、終盤で「山岸はスマホで時刻を確認した」といった描写があり、祖母の形見の腕時計はしているものの、正確な時刻を確認する際はスマホを見ていることも、伏線としています。

引用元:マスカレード・ナイト

映画版では、中盤くらいで新田が山岸の調達したバラの花束を持ってあげて、歩きながら話しているときに、5分くらい遅れていることに気付くという、わかりやすい伏線を張っています。

もう1箇所原作にはないシーンで、バックヤードで藤木総支配人と出くわし、腕時計が正確でないホテルマンもいると話すなど、二度に渡って伏線を張り、山岸の腕時計が遅れていたために、命拾いするという結末で回収しています。

ここわた
ここわた

映画版は、わかりやすい伏線を張っておき「ああ、そういうことね」と思い出してもらうことを、明確に意識していますね。

 

パーティ参加者の警察への合図の説明がカットされている

原作では、大晦日の宿泊者の中に、カウントダウンパーティ参加者と不参加者がいることで、警察がどう見分けるか、顔をチェックするかの判別方法が明記されています。

それはチェックインの際に、パーティ参加者の場合はフロントクラークがそのチケットを顔の高さまで上げることで警察に知らせるという方法で、彼らに周知徹底されていました。

引用元:マスカレード・ナイト

映画版でも同様に再現されていましたが、その説明はカットされており、氏原が新田に「フロント業務は一切するな。パーティ参加者の合図は我々でする」というセリフのみでした。

この「パーティ参加者の合図は我々でする」というのが、『赤いチケットを顔の高さまで上げる』という意味になります。

ここわた
ここわた

このシーンの演出の細かさは、原作を読んでいないとスルーしてしまいますね。

 

仮面人形のグラスに花を入れるのは原作は山岸

原作では、密告者から警察に、午後10時までに出入口の仮面人形が持っているグラスに花が飾られていなければ、殺人犯が誰か教えないと連絡があり、新田は山岸に花を飾るように依頼します。

山岸は、ロビーの正月飾りに使われる赤い南天の実を分けてもらい、グラス一杯に入れることにして、遠くから見ると花に見えるという演出にしました。

引用元:マスカレード・ナイト

映画版は、男性スタッフに変装した刑事が脚立に登り、仮面人形(マダムマスカレード)のグラスに赤い一輪の花を入れたあと、降りるところから撮影されています。

ここわた
ここわた

マダムマスカレードはいいネーミングです。

 

仲根緑が依頼したケーキ⇒原作はサンプル品

原作は、仲根緑が山岸に依頼したケーキは、本物のケーキではなくサンプル品で、イチゴやラズベリー、お菓子で作られたリボン等で装飾されたかなり凝ったもので、大晦日に引き受けてもらえるところもない状況下、既製品を同僚のコンシェルジュにいくつか購入してきてもらい、自身で作り上げます。

龍の形をしたチョコレートのデコレーションを再現するのが難関でしたが、ホテル内の中華料理店の厨房で得意な人を見つけ出し、発砲スチロールで制作してもらい、見事な出来映えとなります。

サンプル品をこしらえさせたのは、食べてなくなるものよりも、いつまでも残るものが欲しいという理由で、新田がフロントクラークに化けていたことを瞬時に見抜いていた仲根は、作ってもらえるかわからずとも、警察に当初怪しいと思わせておき、事件とは無関係であったことで安心してしまい、逆に疑いがかけられないようにする、彼女が仕掛けた巧妙な仕掛けでした。

引用元:マスカレード・ナイト

映画版では、サンプルではなく本物のケーキを依頼し、写真は一般的なケーキで簡略化されていました。

ただ、ケーキが出来上がったあと山岸が取りに行ったときに、ブルーベリーとミントが上に乗っていない状態であったため、写真の様に作るように、大晦日の夕方多忙な中、厨房に強めに頼んている演出をしていました。

これは原作で、ケーキのサンプル品を大晦日の午後に突然頼まれ、奔走して苦労の上に作りあげた経緯を、映画版で表現しているシーンと考えられます。

引用元:マスカレード・ナイト

 

山岸は日下部と狩野に疑問を持つ

原作では、山岸はプロポーズ作戦が失敗に終わったあとで、日下部と狩野を汐留で見たというスタッフがいることを、ケーキの製作で世話になったシェフの大木に、カウントダウンパーティが始まる直前に聞きます。

そのことに疑問を持った彼女は、狩野からもらった名刺に記載されている勤め先を調べるも、存在しないことが発覚します。

引用元:マスカレード・ナイト

新田から、日下部は怪しい人物として警察からマークされているが、山岸は彼が犯人とは思えないと考えており、一体どうなっているのか訳が分からず疑問に思いながら、パーティに突入していきます。

映画版では、この描写が丸ごとカットされており、日下部・狩野に対して何の疑いも持っていませんでした。

 

山岸がパーティの最中チャペルに行った理由が違う

原作は、山岸がパーティ会場で関西から来た若いカップルの女性から話しかけられ、実は結婚したばかりだがお金がなく式を挙げておらず、チャペルで写真を撮りたいと依頼されます。

このコはホテルの提携先カラオケ店で、安っぽいウエディングドレス(男性はタキシード)を借りてパーティに参加しており、山岸は彼女の手荷物を警察が開けたことを知っていて、嘘を付いて誤魔化した負い目も感じていました。

そこで、コンシェルジュとして要望に応えてあげたいと考え、チャペルはメンテナンスが年末に入っていたことを思い出し、現状を確認するために一人足を運び、事件に巻き込まれることになります。

引用元:マスカレード・ナイト

映画版は、仲根緑の計画により貝塚由里をチャペルへおびき出したのはもちろん同じですが、仮装した曽野万智子をロビーで見つけた山岸は、グリーンのロリータ服を着ているのは貝塚と見抜き、尾行しようとしたところ日下部に足止めされ、チャペルへ行き事件に巻き込まれることになります。

ここわた
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原作では、山岸が先に襲われて拘束され、その直後貝塚が同様に襲われてタイマーをセットされます。

 

パーティ開催直後の山岸へ日下部が放つ言動

原作では、パーティが始まってすぐ山岸の携帯電話に日下部から電話があり、パーティ終了後に部屋に来るように言われます。

上記のこともあり山岸は困惑し、新田に相談しようとするも、当然のことながら刑事の仕事で忙しく、相談できずじまいになります。

彼女が事件に巻き込まれなければ、日下部は自身の正体を明かすつもりだったのかもしれません。

引用元:マスカレード・ナイト

映画版では、日下部は原作同様の「狩野妙子・プロポーズ作戦」「仲根緑・一目惚れ作戦」に次いで、山岸への3度目のテスト「女を見繕え作戦」に出て、明らかにいいかげんにしろ!と言わんばかりに、筋の通った説明で断わられます。

ここわた
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流石に3度目のテスト「女を見繕え!」は、やり過ぎですが、原作同様に貝塚と共に山岸が犯人に襲われるようにするには、貝塚を尾行していたため、この演出しかなかったのでしょう。

マスカレードナイトで日下部の正体・沢村一樹は何者?凰稀かなめの役「狩野妙子」についても
沢村一樹演じる「日下部篤哉」は、事件解決後山岸が病院で検査を受けたあと、ロビーに戻ってきた際に藤木総支配人から、「ホテルコルテシアロサンゼルスの香坂君だ」と紹介され、正体が明かされて、山岸と氏原をテストしていたことがわかりました。 映画版で...

 

ラストシーン・原作は新田が宿泊に訪れる

原作では、山岸がロスへ発つ3ヶ月前、新田がホテルにタクシーで乗り付け宿泊に訪れ、チェックインするときに氏原と言葉を交わし、コンシェルジュデスクに行き、彼女と翌日に食事の約束をしてエンディングとなります。

引用元:マスカレード・ナイト

映画版では、前作「マスカレードホテル」と同様、仮装したシーンと現代のシーンを融合したあと、山岸がホテルに客として宿泊し、その足で空港へ向かうのでしょうか?

見送りに来た新田とロビーで会い、ロスから帰ってきたときに食事の約束を取り付けて、エンディングとなります。

個人的には、原作に沿ったエンディングで問題無いと思いますが、シリーズ化もして前作と同じように、映像マジックを駆使して終わりたかったのかもしれません。




「警察・犯人」系の違い・8選

次に、「警察・犯人」側の違いについて紹介します。

 

前作マスカレードホテルと同じ警察の陣容

原作は、冒頭から和泉春菜殺人事件の担当は、警視庁捜査一課・矢口警部率いるチームであったが、「密告状」が届きホテルコルテシア東京が現場となったため、前作で事件を解決した稲垣係長に依頼し、矢口&稲垣両チームによる合同捜査会議から始まります。

前作で新田を裏からフォローした能勢は、品川署から矢口の下に異動となり、新田と再び顔を合わせることになります。

引用元:マスカレード・ナイト

映画版では、その矢口係長は登場せず、原作のように合同捜査という形ではないですが、前作同様に尾崎管理官と稲垣係長2名のリーダーによる捜査会議が演出されています。

会議に参加している人数がやや多く、中央の通路を挟んで二手に分かれていることから、原作の矢口&稲垣の2チーム体制を表現していると思われます。

ここわた
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矢口係長という新キャラを登場させると出演者も多くなりますし、前作と同じ布陣の方がわかりやすいからではないでしょうか。

 

手荷物を開けられた形跡ありと訴えた客の違い

原作は、関西から来た若いカップルがコンシェルジュデスクの山岸に、荷物を開けられた形跡があると相談に来たことが発端となり、捜査員が客の荷物を勝手に開けていたことが発覚します。

客室をチェックしたい警察は、ホテル側から出された条件としてハウスキーパーに捜査員が同行することを許されるのですが、稲垣係長の指示は、彼らの目を盗み荷物を開けて調べろというものでした。

映画版とは違い、ある捜査員がしており本宮刑事ではありません。

引用元:マスカレード・ナイト

映画版は、カップルではなく仮装メイクした一人の女性が原作同様に、荷物を開けられた形跡があると、山岸に訴えます。

ベルボーイに扮した関根が、彼女の客室に手荷物を運んだ際に、本宮がやってきて勝手に開けて調べたことで発覚し、その後の協議でホテルスタッフが同行していれば客室に入ることを許可して、仲根緑の部屋に新田と山岸が入室し、細かく調べることになります。

ここわた
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原作と順序や登場人物が異なりますが、流れは同じですね。

 

浦辺宛の荷物を客室へ持ち運んだのは原作は新田のみ

原作は、新田一人が浦辺の客室に入り、着古したべージュのスウエットの裾に、犬か猫の毛が付着していたことに気付きます。

本来なら客宛ての宅配物はベルボーイが運ぶものを、フロントクラークの新田が持って行ったのは、浦辺が明らかにホテルに泊まり慣れていないためで、クレジットで支払わず、現金の持ち合わせも少ないことで、疑いの目を向け、関根に任せず新田自身が探りを入れに行きました。

引用元:マスカレード・ナイト

映画版では、ベルボーイの関根と二人で浦辺の客室へ行き、関根と話している隙に、新田がグレーのコートに、犬か猫の毛が付着していることに気付き、持ち帰る演出をしています。

原作と異なり、浦辺がホテルに泊まり慣れていないシーンがなかったため、(挙動不審を強調)フロントクラークが一人で荷物を運ぶのも違和感があるためか、関根と二人で客室を訪れたのではないでしょうか?

 

あしながおじさん作戦

日下部が仲根緑に一目惚れしたから食事のセッティングをしてほしいと山岸に依頼し、「あしながおじさん作戦」を計画立案し実行に移していきますが、このシーンについても、差異が見受けられます。

原作では、映像ショーが終わったあと、食品サンプルのケーキが完成し、山岸が仲根緑に電話をすると、2階のブライダルコーナーに見に来ると言い、そこへやって来ます。

映画版同様、映像ショーやプレゼントはホテルからのサービスではなく、日下部という男があなたに会いたいと言っているがどうするかと聞いたところ、一度部屋に戻り主人と相談するとのことで、午後7時にインルームダイニングをお願いしているので、その少し前に来てほしいと約束。

引用元:マスカレード・ナイト

山岸が日下部を連れて、仲根の部屋を訪れ、二人きりで話すも日下部は夫がいると言われ振られてしまう。

その後、山岸が部屋に呼ばれ、仲根は夫など最初からいないことを告白し、「映像ショーで涙を見せた言い訳がしたい」と(警察を欺くために)新田も呼ぶ。

その「言い訳」の内容は、映画版とほぼ同じで、インルームダイニングが運ばれてきて、仲根の提案で日下部と二人で食事をともにすることにし、山岸と新田は退出する流れに。

映画版では、映像ショーが終わったあとの午後10時に、山岸がケーキを持って仲根緑の部屋に一人で出向き、日下部という男からの指示によるもので、あなたと会いたがっているがどうするかと聞いたところで、心配した新田が急ぎ駆け付けます。

引用元:マスカレード・ナイト

そして、日下部のことは放置して、3人でチャペルに行き、早くから新田を刑事と見破っていた仲根は、壮大な嘘をつき、疑いが自身にかからないように芝居を打ちます。

引用元:マスカレード・ナイト

このように映画版では、伏線を張りつつ時間短縮を図り、緊迫したBGMと演出で、基本的に原作も崩さない絶妙の脚本に仕立てています。

 

曽野昌明がパーティ前にホテルを出る理由

原作と映画版ともに、曽野昌明はカウントダウンパーティ前に不在になります。

映画版では、何も知らない曽野は不倫相手と出くわし、ホテル内に居づらくなったのか、バーで一人飲んだあとロビーでゲームをしている息子に、コンビニに行ってくると言って出掛けて行きます。

引用元:マスカレード・ナイト

原作では、嫁の万智子から自宅マンションに駐車しているクルマに悪質なイタズラをされたと聞かされ、管理人から帰宅するように促されて、一人精算を済ませチェックアウトして帰宅します。

犯人を脅迫している貝塚由里と曽野万智子が、曽野に疑いが向かないようにするための彼女たちの計画の一環で、映画版ではこの辺りの細かい描写は省略して、自発的にコンビニに出掛けたことにして、彼を不在にしています。

ここわた
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原作・映画版とも、「曽野昌明は無関係」ということを強調して、シンプルにしたかったと思いますね。

 

笠木美緒から任意で事情聴取

映画版ではカットされていましたが、森沢と関わった女性で、奇跡的に殺されずに済んだ笠木美緒という人にコルテシア東京に来てもらい、森沢との関係について、新田と能勢は詳細に事情聴取しています。

森沢に洗脳されかけたところに、良い男性と知り合い助け出してもらい命拾いした女性で、その内容は映画版では、ホテルのバックヤードで新田が森沢に聴取しているシーンや、会議で話している内容と同じです。

 

原作は犯人の囮(おとり)が2人いる

犯人の森沢は、殺害した和泉春菜と不倫をしていた浦辺を脅迫し、貝塚由里を殺害するために彼を操り囮に使いますが、映画版では浦辺だけですが、原作はもう一人います。

浦辺はペンギンの仮装をして、彼宛に送られてきた荷物の中に入っていた鍵付きの施錠されたドクターバッグ(本物か偽物かは不明の札束入り)を持って、ブライダルコーナーへ向かいソファーへ置いておけとスマホで指示されて、再び会場に戻ります。

その後、もう一人犯人が金で雇った「ミイラ男」に仮装した男に、そのバッグを取りに行かせて、その男がチェックインした0905号室に行き、バッグを部屋に置いたあと再び会場に戻り、ひとりで飲み食いを始めます。

このミイラ男は、チェックインの際にもミイラの仮装をしたままで、「木乃伊男」(みいら男と書いて)「キノヨシオ」と読ませるトンチの効いた偽名で、フロントにいた新田は覚えていました。

つまり、犯人は浦辺とこのミイラ男の二人に囮役をさせて、警察の目を釘付けにさせるという手の込んだ計画でした。

引用元:マスカレード・ナイト

ちなみに、ミイラの仮装をした事件と無関係な二人がエキストラとして一瞬登場しますが、これは原作をオマージュして、わざと映りこませていると思われます。

原作と脚本を変えているが、それをリスペクトしていますよと、アピールするような演出ですね。

引用元:マスカレード・ナイト

映画版は、囮として使うのは浦辺一人で、わかりやすいように持参したキャディバッグをブライダルコーナーへ置いておくだけで、ペンギンの仮装をして会場に入り、あとは飲み食いするだけというシンプルな演出にして、曽野万智子と共に会場で確保されるという流れになります。

このシーンも原作は映画版と少し違い、パーティが始まる直前に、浦辺が宿泊している部屋に警察が踏み込み、捜査協力を依頼してインカムを付けさせて、犯人の指示に従ってもらうようにしています。

ここわた
ここわた

ちなみに殺害された和泉春菜を妊娠させたのは、この浦辺、本名:内山幹夫ですが、映画版ではその詳細はカットされて、うやむやになってしまいました。

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森沢光留の取調べ時の態度

原作では、犯人の森沢光留は逮捕勾留後から黙秘を続け、1月10日になってようやく新田なら話してもいいと言って、彼が取調べをすることになります。

その時の男としての彼の言動は、映画版とは異なりかなり饒舌で、新田もこの口車に乗って交際した室瀬亜美(3年半前の被害者)と和泉春奈は、不幸にも殺害されてしまったのだと納得します。

取り調べの様子は新田が聞き役になり、森沢の方がペラペラと話す構図となります。

引用元:マスカレード・ナイト

映画版では、現行犯逮捕して捜査本部で借りているスペースの一角で取り調べをして、普段は男として生活していたと新田が言っていたことからも、男を演出しないといけないので、口数を少なくして低い声で、上から目線で極めて偉そうな言い方にして描写を変えています。

原作で森沢が饒舌に語っていた部分は、必然的に新田が話すこととなり、結果として主役の木村拓哉さんを、刑事役としてカッコよく惹き立てています。




マスカレードナイト・犯人がなぜわかったのか

映画版におけるこの作品において、「犯人がなぜわかったのか?」という疑問について2つあります。

  • 密告者である曽野万智子と貝塚由里が、和泉春菜を殺害した森沢光留にどうやって辿りついたのか?
  • 新田はなぜ仮装した犯人・森沢光留がわかったのか?

映画版は原作と違い、詳しい経緯がカットされていることも多く、わかりにくいところもあるのは否めません。

そこで、原作と照らし合わせて解説します。

 

曽野万智子と貝塚由里はなぜ犯人がわかったか?

原作では、息子の曽野瑛太(中学生)が、父親の趣味であるバードウオッチングで購入した超望遠カメラで、高層階の自宅マンションから、様々なところを覗いていたところ、よくカーテンが空いていて、若い女性が住む被害者の部屋を覗いていた。

そのうち彼女のマンションに行くようになり、クルマから男とともに彼女が降りてそのマンションに入って行くところを目撃する。

引用元:マスカレード・ナイト

そのクルマの中を覗くと「礼心会」と印字された封筒が置いてあり、ネットで検索すると、その男と「モリサワクリニック」の医師・森沢光留が同一人物と判明。

ベッドに横たわる女性が2日経っても動かないことで、不審に思いながら覗いていたところを母親にみつかり、匿名通報ダイヤルで警察へ知らせる。

曽野万智子は、夫の昌明が東京に転勤になったことで時々会っていた高校からの友人、貝塚由里に相談し、ゆすりの筋書きを練り、森沢と連絡を取るようになり1億円を要求。

このような流れで、和泉春菜殺人事件の犯人は森沢光留と判明するのは、曽野瑛太が母親・万智子に言い、貝塚由里が知ることとなります。

ここわた
ここわた

映画版では、望遠カメラは息子の瑛太に買い与えたことになっていますが、原作は曽野昌明が趣味で所有していたものです。

 

新田は仮装した犯人がなぜわかったか?

新田はなぜパーティ会場で約500人もいる中から、犯人がわかったのか?大まかにはストーリーは原作と同様ですが、映画版との違いについても解説します。

原作では、森沢はパーティ会場では「マイケルジャクソン」の仮装をして入場し(仲根緑として予定を早めてチェックアウトし、自宅に一旦帰宅後再びタクシーでホテルへ)、防犯カメラをチェックしている警察を欺くため、通販で購入したニセモノのよく似たテルの男性従業員の制服姿+仮面で、チャペルで貝塚と山岸を襲い拘束してタイマーをセット。

階段で新田と遭遇し、男性用トイレの個室に入り着替えているところを確認し、マイケルジャクソンの仮装をして再びパーティ会場へ戻る。

インカムで上司に報告し、その男性従業員姿の行方を録画した防犯カメラの映像で追うも、特定しにくく時間がかかり、カウントダウンまで時間がない状況下で、新田は一人でいたマイケルに声をかけて、タンゴを踊ることを提案。

踊ったあとは映画版と似たようなセリフ「仮面を付けていたら目と口元しかわからない。その目でわかった」と、マイケルの仮面をはぎ取ると、メイクをしていない仲根緑(森沢光留)は、全く別人の男性の顔に見えたいう結末でした。

新田は「仮面を付けていなければわからなかった」とも言っており、原作ではかなり男性に近い容姿として描写されています。

引用元:マスカレード・ナイト

映画版では、犯人・森沢光留は「ファントム」の仮装ですが、新田はあなたの美しい目を一度見たら忘れないといったことを、タンゴを踊った後に目だけはハッキリと見える仮面を被った仲根緑(森沢光留)に言い、見破った理由を明かします。

原作は、仲根緑が登場したときから、「エキゾチック」とか「中性的な顔立ち」と表現していることから、伏線はその頃から張られていたことに読み終わったあとで気付くのですが、男性に近いイメージで読破された方が多いと思います。

この作品で犯人の「森沢光留」を実写化するにあたり、「普段は男として生活している人」としてどれだけ近づけるかがポイントで、キャスティングや演出、脚本においても十二分に練られた落としどころであったと考えられ、制作者側の苦悩や工夫が垣間見えます。




原作を読み映画も観た方のSNSの評判

この作品の原作を読み、映画も観た方のSNSの評判を見ると、概ね評判も良く、原作を読むとより面白いとか、理解ができるといった好意的な意見が多く散見されます。

一部紹介します。


500ページありますから、普通に読めば結構時間かかります。


映画版は大晦日から物語がスタートして一日に凝縮していますが、原作は当日に犯人や密告者が現れるとは限らないという理由から、12月28日から スタートしています。

原作を崩していないので、そのまま面白い!という評価になるのではないでしょうか。

上映されていた2021年頃の評判は、否定的なツイートはほとんどありませんでした。

 

まとめ:原作を崩さず面白い脚本の映画!

最後にまとめると、

  • 原作と映画版の違いは、細かいところを入れれば複数あるが、基本的に原作は崩さず、ミステリー映画として緊迫感もあって、誰が犯人なのか最後までわからなくしていたり、伏線回収も盛り込み、エンターテイメント性もあって楽しめる作品。
  • SNSの評判も良好。

といったところでしょうか。

文庫本で500ページに及ぶ長編小説ですから、映画版ではストーリーとはあまり関係のないところはカットされているのは仕方がありません。

他にも個人的な見どころとして、

  • 仲根緑がホテルに来た時から、警察が張り込んでいるのかを見ている演出。

 

  • 曽野親子がホテルに来た時、夫・昌明が貝塚由里と不倫に使っているため微妙な表情をしていたり、息子の瑛太は中学生で親と出掛けるのが気恥ずかしく、嫌々感が出ている表情。

 

  • 一見地味な主婦の曽野万智子役には木村佳乃さん、夜の街で生きてきた派手な貝塚由里役には高岡早紀さんという絶妙なキャスティング。

 

  • ロビーでその二人が仮装して、森沢から金を奪うため最後の打ち合わせをしているとき、万智子は由里を裏切り森沢に殺害を依頼しているにも関わらず、「由里、いいお年を」というおぞましさ。また別れた直後「ざまあみろ」とでもいわんばかりの歩き方。

 

  • 万智子が緊迫した中、取り調べを受けている最中、由里の服装を聞かれたとき一瞬ためらい、「由里を助けて下さい!」と芝居を打って自己保身に走る恐ろしい女性像。

など、役者さんの演技や制作側の演出は、原作と映画版では多少違えど、原作をリスペクトしながら表現されていて、見応えがありました。

映画版を観て興味を持たれた方は、原作も読まれるとこの作品の奥深さが堪能できると思います。

ここわた
ここわた

あと、冒頭のシーンで、前作からの友情出演・明石家さんまさんの特大看板も、緊張感がほぐれてよかったですね。

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