タクシーの利用者が乗車される際に、あまり近いところでは運転手が迷惑するのではないか?嫌がられるのではないかと思われる方も多いのではないでしょうか?
そのような方は、「近くで申し訳ないですが・・・」などと、乗車されてすぐに言われますが、タクシー運転手はワンメーターや三桁の近距離利用者をどう思っているのでしょうか?
そこで今回は、タクシーでワンメーターのお客様について取り上げます。
この記事に書いてあること
✅運転手は、ワンメーターや三桁の近距離の乗客をどう思っているのか?について、現役ドライバーが解説しています。
タクシーにおけるワンメーターや三桁とは?
タクシー業界の用語で、最も一般的に知られているといっても過言ではない「ワンメーター」。
また、タクシー業界でよく使われる「三桁(みけたorさんけた)」について解説します。
ワンメーターとは?
ワンメーターとは初乗り運賃のことで、タクシーに乗車した際に始めに表示される運賃のことで、一定の距離(初乗り距離)が定められており、地域により異なります。
例えば、初乗り運賃:590円 初乗り距離:1.2kmの場合、乗車場所~降車場所まで1.2km以内であれば、590円ということです。
実際は、時間距離併用制なので、信号待ち等でもメーターは上がりますから、590円で走行可能な距離は1.2kmよりやや短くなるのが一般的です。
三桁(みけたorさんけた)とは?
三桁とは、メーター料金が1000円以下の仕事のことです。
まず、「加算運賃」の説明をすると、「加算運賃」とは、初乗り距離を超えて乗車した場合の、走行距離に応じた距離で計算される運賃のことで、例えば、初乗り距離1.2kmを超えたあと、200mを超えるごとに80円加算され、この80円が加算運賃となります。
つまり、上記の例で初乗り運賃が590円とすると、200m毎に80円毎加算されますから、
590円+80円=670円
670円+80円=750円
750円+80円=830円
となり、近距離だとメーター料金が三桁になるため、『みけたorさんけた』と言います。
タクシーで近距離が迷惑がられたり嫌がられる理由
まず、タクシー運転手はほとんどが歩合です。
売上(営収)が、そのまま自身の給料に直結しますので、特にワンメーターや三桁までの近距離だと単純に売上は伸びません。
端的に言うと、乗込みにしろ無線配車にしろ全てが運であり、三桁までのような近距離では、そのときだけを見れば売上は上がらない。
よって、嫌がられるという構図になります。
タクシーは近距離だからといって乗車拒否はできない
当然のことながら、近距離であっても乗車拒否はできません。
運転手によっては、あからさまに態度が悪くなることもあるかもしれません。
上述したように、自身の給料に直結するので、不機嫌になる気持ちもわからなくなくはないですが、真面目にやっているまともな運転手は、それを表に出すことはありません。
あまりに運転手の態度が悪い場合で気が収まらない場合は、法人であればタクシー会社に、個人であれば個人タクシー協会にクレームを入れるのもひとつの方法です。
タクシーは年間売上でトータルで考えると・・・
年間でトータルで考えると、同じ時間をかけていれば、ほとんど売上は変わりません。
当りのいい時悪い時があるので、例えば日によっては、乗込みは全て三桁とか、無線配車も含めて5~6回連続でワンメーターの日もありますし、かと思えば、朝7時に出庫し午前中に2万円程上がるときもあります。
その時だけ見ると、三桁の近距離客を連続で引いたりするとへこみますが、いいときはロングの客を引くこともあるので、特に年間の長期スパンでみると、同じ時間をかけていればあまり変わらないと言えます。
乗客からすれば近いところは申し訳ないと思うのは理解できる
管理人も、ドライバーになる前は、乗客としてタクシーに乗る時は、近いところだと申し訳ないという気持ちもありました。
以前勤めていた会社では、時々工事出張や機器の販売・技術者として出張があったため、タクシーに乗ることも時々あり、当時はスマホもないので、初めてのところへ一人で行くときは、ある程度は事前に調べていくのですが、距離感がよくわからなくて、タクシーに乗ったら近い距離で、申し訳ない気持ちになったこともありました。
その利用者の人間性に左右されるので一概には言えませんが、気になるようであれば、「近くて申し訳ないです」などと言っていただくのも一つの方法です。
タクシーの利用者が減少する日は近距離客もありがたい
タクシーはどうしても、土日祝日や大型連休など利用者が少なくなります。
よって、タクシー乗り場で車列をなして動かなくなりますから、運転手の心境としては、近場でもいいので、車を動かしたい気持ちになり、実際にそのような日には近距離客が多く、半ばあきらめています。
また、乗り場で最後尾につけてから、2時間程かけて先頭まで行き、乗込みの乗客がワンメーターだと、内心がっかりしますが仕方ないと割り切るほかありません。
また令和2年3月現在、コロナショックにより全国的にタクシー業界は利用者が激減し、苦境に立たされており、利用者あってのタクシービジネスということを痛感しています。
まとめ:近距離客は嫌がるが仕事として割り切っている・気になれば「近くて申し訳ない」と言うのがベター
最後にまとめると、
- 運転手は、ワンメーターや三桁の近距離は確かに嫌うが、仕方がないので割り切っている。
- 当りのいいときもあれば悪いときもあり、長期スパンでトータルで考えると売上にほぼ差は出ない。
- 利用者が少ないときは、近距離でもありがたさを痛感する。
- 利用者において、気になるようであれば、「近いところで申し訳ない」などと言っていただいても構わない。
といったところでしょうか。
運転手個人の人柄や性格・考え方により異なるところもありますが、近距離であっても仕事として割り切っています。
また、利用者によっては近距離で申し訳ないという気持ちからか、端数の釣銭を頂くことも少なくなく、丁寧・親切な接客をすれば、結果的にチップをいただくことに繋がることもよくあります。
地域により異なりますが、近距離客が乗りやすいように、初乗り距離を従来より短縮して、初乗り運賃を抑えた料金体系にしている地域もあります。
ぜひ、近距離であっても利用していただきたいと思います。
コメント
なんで「近くて申し訳ない」なんて言う必要があるのか?
コンビニに行ってコーヒー1本しか買わずに「少ししか買わずに申し訳ない」と言う必要があるか?
タクシー業界というのは何かずれてる人間が多い気がする。
taxi様、貴重なご意見ありがとうございます。
この記事では、お客様がタクシーに乗車される際、ワンメーターや近い距離の場合、
・運転手は迷惑なのかな?
・運転手は内心どう思ってるの?
といった乗客が疑問に思うことを、今までの経験から個人の主観で発信させていただいております。
もし気になるようでしたら、「近くて申し訳ない」と言っていただくのもひとつのやり方で、
必要性はございません。
ただ、文面として、そのように受け取られる方もいらっしゃるのは反省すべき点として、
勉強させていただきます。
今後ともよろしくお願いいたします。