「タクシーの料金メーター」ってどの車両も、正常に動作しているのか疑問に思ったことはありませんか?
料金は各地域で異なるのですが、
- どのタクシーでも、各地域で定められた正規の料金になるのか?
- 不正な改造などは行われていないのか?
- タクシーメーターはどのような方法で検査をしているのか?
など疑問に思うこともあるのではないでしょうか。
そこで今回は、「タクシーメーターの検査方法や、意図的にいじって不正や改造などがされていないのか?」などについて解説します。
この記事に書いてあること
✅タクシーメーターの詳しい検査方法を解説!
✅タクシーメーターを不正にいじることはできるのか?
✅いつもと同じルートで目的地へ到着しても、毎回料金が違うのはメーターがおかしいから?
✅タクシーメーターで不正操作をして、料金を上げることはできるのか?
などについて、現役ドライバーが解説しています。
タクシーメーターの検査場は「計量検定所」
全国の都道府県にある「計量検定所(タクシーメーター検査場)」と呼ばれるところで、1年に1度厳正に検査を受けることが義務化されており、都道府県が管理して実施しています。
都道府県には「計量検定所」という部署があり、多岐にわたる業務のひとつとしてタクシーメーターの検査・検定を行っています。
つまり行政機関が執り行っており、庁舎などの敷地内に「計量検定所」が設けられていることも多いです。
タクシーメーター装置検査
年に1度、この車両(号車)は、何月何日の何時~何時までの間に検査を受けてきなさいと、所属するタクシー会社からの指示を受けて、その当日にその車両に乗務する乗務員が、上記の計量検定所に出向き検査を受けることになります。
自社のみならず他所の会社の車両もたくさん来ます。
近年は、一般のタクシー車両だけでなく「介護タクシー」もタクシーメーターを取付けている車両もあり、並んで順番待ちをしていることもよくあります。
そして、このメーター検査は走行距離のみを検査します。
タクシーメーター検査方法
一般の方はほとんど知らないタクシーメーターの検査方法について、詳しく解説していきます。
まず、タクシー会社および介護タクシー会社により個別に台数を割り振っているため、日時を指定されることもあります。
「タクシーメーター装置検査」の多くは並列に2台設置されていますので、2台同時に検査を行うことが可能で、自分の番が回ってくるまで、到着した車両順に2列で順番に並んで待つことになります。
検査手順
1.メーターの鉛封印を解く
まず料金メーターは不正な改造を防ぐために、封印してあります。有効期限が刻印された鉛製の小さなコインのようなものを通して、封印されています。
これを担当者が、検査直前に助手席から乗り込んできてラジオペンチで外し、メーターを触って、メモを取ったり準備をします。
合格する車両が多く、不合格であってもローラー台上で調整するため、時間短縮を考慮し、この時点で新たな鉛製の封印をします。
それには有効期限を意味する数字が刻印されており、上の数字が「年」で下の数字が「月」を表します。
下記の写真で説明すると、上「’20」、下「11」になっており、2020年11月までの有効期限であるという意味になります。
2.「タクシーメーター装置検査」上に車両を乗せる
順番が回ってくると「タクシーメーター装置検査」と呼ばれる検査用のローラー台に、車両(タイヤ四輪)を乗せます。
担当者がメーターのボタンを色々と押して準備をします。
3.ローラー台上でアクセルを踏む
検査用のローラー台にタイヤが乗っているので、アクセルを踏んでもその場で空回りします。
その状態で、担当者がメーターを入れて(実車ボタンを押して)「時速50km/h 出して維持してください!」と指示されるので、アクセルを踏んで時速50km/h ほぼ丁度に、5~10分程その状態を維持します。
4.メーター検査開始
メーターを入れているので、しばらくすると初乗り運賃の料金(ワンメーター料金)から、加算運賃が加算された料金に上がります。
例えば、初乗り運賃が650円で加算運賃が80円ならば、メーター料金はこの時点で730円に上がります。
このメーターが上がるのを、3回繰り返して890円になるまで、時速50km/h を維持し続けます。
この際、担当者は時間を計測しているので、スピードやタイヤ径も考慮した上で、メーター料金が規定通りに正常に動作しているのかが、確認できる仕組みになっています。
5.メーター検査終了
メーター料金が3回上がって890円になったら、検査終了です。
ブレーキを踏んでタイヤを止めて、プリンターから領収書を出して担当者に渡し、メーター検査を証明する印鑑を押してもらって受け取り、退場します。(合格の場合)
これは、メーターを入れた以上、その料金分は会社へ納金しなければならないので、「この890円分はメーター検査であげた料金です。この分は免除して下さい」という証拠になります。
よって、当然ですが帰庫したときのその料金の納金は免除されます。
年に1度、私も5~6回経験していますが、不合格になったことなど一度もありません。
以上が、メーター検査の一連の流れになります。
6.メーター検査書の交付
後日、検査を受けた都道府県より、「タクシーメーター装置検査済証」が各タクシー会社や介護タクシー会社に送付されます。
有効期限は1年間で、その他タイヤサイズやメーターのメーカー名などが明記されています。
各車両において車検証とともに保管されます。
タクシーメーター検査の合格範囲
実走行距離+4%の範囲内であれば、合格範囲といわれています。
それは、計量法令で定められている、2000mでプラス80mの公差はOKということで、+4%という数字になっています。
また、厳正な検査のためメーター個体毎の誤差はほぼなく、スタッドレスタイヤに交換して多少の誤差は発生するかもしれないが、基本的にはノーマルタイヤと同径のタイヤのため、問題はありません。
但し、インチアップなど意図的な異なる規格のタイヤ交換をした場合、計量法違反となることもあります。
タクシーメーター検査の検定料
県では、1台あたり700円かかり県収入印紙にて納めるそうです。個人タクシーを除いて、所属する会社が負担してくれるところがほとんどだと思います。
タクシーメーターを不正に改造することは可能なのか?
結論として、厳正な検査を行った上で封印をしているため、不正や改造はできません。
封印を解くことは可能ですが、あとから完全にバレますし、犯罪行為に該当します。
例えメーターが早く上がるように、不正にいじることができる知識がある人がいたとして、改造したとしても、バレたり疑惑を持たれるのは時間の問題です。
なぜなら、
- 封印が解かれたら、その封印を元に戻すことができないので、次のメーター検査でバレる。
- 毎回、目的地まで同じルートで走行するお客様が常連様も含めて一定数いるので、乗務員個人または組織ぐるみで不正をしていたとしても、疑惑を持たれる可能性が高い。
といったことが考えられ、重大なコンプライアンス違反であり犯罪行為に該当するため、社会的信用を著しく損なうことは明らかです。
また、タクシーメーターの知識を持っている人も少なく、素人が簡単にいじれるような代物ではありません。
有効期限が過ぎたり、例えばタクシー車両を新車で購入し、メーターも新品で取付けても検査を受けていないタクシーは、営業できません。
タクシーでいつも同じ道を通るのに料金が違うときがあるのは?不正なメーターでは?
タクシーは信号待ちでもメーター料金が上がるのを知っている方が大半ですが、時々、同じルートなのにいつもより安かったとか高かったとか言われるお客様がみえます。
タクシーは走行距離プラス時間でもメーターが上がるようになっており、信号待ちや踏切で停車したり、時速10km/h 以下の走行では、積算80~90秒でメーターが上がります(時間距離併用制)。
また深夜料金時間帯の22時~早朝5時まででは、2割増しになります。
よって、メーターがおかしいとか不正に改造しているのではないか、などというクレームは論外です。
タクシーメーターでの不正操作をして料金を上げることはできるのか?
結論から言えば、できません。
せいぜい、高速道路走行時に「高速」ボタンを意図的に押さないといったことしかできません。
タクシーが高速道を走行する場合は、乗務員はメーターの「高速ボタン」を押すルールになっており、時間制の運賃はストップし距離のみの運賃になります。
要は高速道路で時速10km/h 以下の渋滞にハマれば、時間でメーターが上がることはないということです。
ただ、逆に言えば渋滞でなければ、「高速ボタン」を押していても押していなくても関係はありません。
まとめ:行政機関で年に1度のメーター検査は義務・不正に改造は不可
最後にまとめると、
- 各都道府県の「計量検定所(タクシーメーター検査場)」において、メーター検査を実施しており、タクシーは年に1度、メーター検査をすることが義務付けられている。
- メーターを不正にいじる・改造することはできないようにメーター検査時に封印をしている。また、封印を解くことは犯罪行為。
- タクシーは時間距離併用制のため、同じ目的地で同じルートを通っても、道路状況(信号待ちや渋滞・混雑等)により、料金は変動する。そのため、料金メーターが不正にいじられているなどということはありえない。
といったところでしょうか。
タクシーのメーター検査は公的な行政機関により、年に1度厳正に検査されており、不正にいじったり改造したりなどということはできません。
メーター検査の他にも、料金の改定や乗務員証の発行、二種免許の取得に個人タクシー開業など、国や県の行政機関がしっかりと管理しています。
逆に言えば、守られている業界とも言えるかもしれません。
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