私は地方に在住ですので都市部のことはわかりませんが、地方のタクシー運転手は地域や会社にもよりますが、全般的に人手不足です。現代において、なりたがる人があまりいない特殊な職業といってもいいかもしれません。
都市部のタクシー運転手は稼げることもあり、新卒で就職される方も多いようですが、地方では配車係や事務系を除いて、新卒でタクシー運転手になろうという方はまずいません。
なぜ、地方のタクシー運転手は人手不足なのか?そして、セーフティーネットの役割を担っているタクシー業界の現状についてまとめます。
この記事に書いてあること
✅タクシー運転手は、地方でなぜ人手不足なのか?また減少する原因は?
✅セーフティーネットを担っているタクシー業界の現状
について、現役ドライバーが解説しています。
タクシー運転手が地方で人手不足になる理由
タクシー運転手が人手不足になる理由について、順に説明します。
地方では利用者数(需要)が少ない&飲酒運転の厳罰化
地方では都市部と比べて利用者が少ないため、稼げる金額も必然的に少なくなります。
全国のタクシー運転手の平均年収が公表されておりますが、地方は軒並み低いのが現実です。
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また、時代の流れで20年程前には無かったことが、現代に存在する事柄もあります。
運転代行業者の台頭
地方では居酒屋や歓楽街などに駐車場があり、お酒を飲む機会があると、自家用車でその駐車場へ停めて、運転代行業者に頼んで帰宅する方も多いです。
利便性がよく、運転代行業者や距離にもよりますが、タクシーより安く済むこともあり、自家用車を他人に運転させるのに抵抗が無い方が利用されており、タクシー業界は夜間に、運転代行業者にお客を取られている側面もあります。
飲酒運転の厳罰化
十数年前に飲酒運転による痛ましい事故が頻発し、その厳罰化によって、飲酒運転をしない意識や機運が高まり、クルマがないと生活が成り立たない地方では、飲みに行くのに電車やバス、タクシーや運転代行業者を利用したり、誰かに送迎してもらったりと、何かと手間がかかります。
都市部と異なり、その手間を嫌って忘年会や新年会・歓送迎会などを除いて、地方ではそもそも飲みに行くことも少なくなったこともあるのではないでしょうか。
二種免許を取得しなければならない
タクシー運転手になるには、二種免許を取得しなければならず、所持していなければ免許を新たに取らなければなりません。
近年はタクシー会社が、二種免許未所持の中途採用者には、指定の自動車教習に通って(または合宿免許で)取得させるところも多いです。
一年間自己都合で退職しなければ、会社側が費用を全額負担するなどの条件付きで、取得することができます。
タクシー会社に採用されているので、自動車教習所に通学中は日当は出るものの、取得するまで最短でも2~3週間はかかり、二種免許未所持者にとっては、ハードルがひとつ上がるのは否めません。
例えば、職場の先輩でいるのですが、路線バスや観光バスの運転手をしていた人は、大型二種免許を持っているので、すぐに乗務できるのですが、他業種から転職した場合は二種免許の取得が、ひとつ面倒なハードルになるのです。
⇒タクシー会社へ採用された後に未経験者が免許取得からデビューするまでの道のりを解説
勤務(拘束)時間が長く特殊な勤務形態
タクシー会社にもよりますが、基本的に勤務時間は長く、特殊な勤務形態を取っています。
逆に言えば、時間をかけないと稼げないということです。
社会的イメージの悪さ
「タクシー運転手は底辺の仕事」「誰にでもできる仕事」「勤務がきつい」など、社会に必要な職業でありながら、世間的なイメージは良いとは言えません。
大企業からリストラされた、起業して失敗した、前の職場で退職を余儀なくされたなど、どこにも行きつくところがなくて最後にたどり着く職業・・・。
「人生最後の墓場」そんなイメージもあるかもしれません。
詳細は後述しますが、近年は高齢のタクシー運転手が絡む事故もよく報道されており、一般の高齢ドライバーと同様に社会問題になっているといっても過言ではありません。
クルマを運転する仕事なので、事故を起こす・巻き込まれる恐れがある。
お客さんを乗せて運賃をいただく仕事なので、一般ドライバーよりはるかにクルマを運転している時間が長いので、事故を起こしたり、巻き込まれるリスクは高くなります。
⇒タクシードライバーの事故は修理代が自腹?保険は適用されずに会社に自己負担させられるのか
また、凶悪事件に巻き込まれる可能性もゼロではありません。
⇒タクシーの緊急サインの表示の意味を解説!行灯の赤い点滅や表示灯がSOSなら110番通報!
運転手の高齢化による減少とその理由
都市部も地方も同様ですが、運転手が高齢化して退職されていくので、新規採用をしなければ人材不足は解消されませんが、特に地方では収入も少なくなるため、若年層の運転手はとても少なく、なりてがいないのが現状です。
よって、タクシー運転手を志す方も少なく、入ってきても元々年齢の高めの方が多いのも事実です。
冒頭でも述べたように、地方で新卒でタクシー運転手になる人などまず存在しません。
そのため、高齢になっても働きたい方ももちろんみえますし、年金だけでは少ないからと続けている方も多いですが、反面人手がいないので会社からは残ってほしいと言われて、辞めてもいいが仕方なく年金を受取りつつ、継続してハンドルを握っている方も多いです。
結果として、高齢ドライバーが増えていく構図になっています。
失業時セーフティネットとしてのタクシーの役割
将来、タクシーは自動運転化されて消滅する職業とも言われておりますが、反面、何かの都合で前職を辞めた中高年の再就職先として、社会の受皿になっているセーフティネットの役割も担っているのが、現在のタクシー業界です。
自動運転化が普及するまで、コストが下がり現実的にタクシー会社が購入できる金額になるまで、まだもうしばらく時間がかかります。
人手不足であるが故に、再就職先としてはチャンスともいえます。
仕事をした分だけ、自分の給料になるタクシードライバーという職業を、どこへも行き場のない中高年の拠り所として、再就職先として考えている方にいかがでしょうか?
まとめ:低収入・高齢化・免許取得の手間・勤務時間が長い・イメージが悪い・事故の恐れ ⇒ タクシー業界の闇
最後にまとめると、
- 地方では、都市部と比較してあまり稼げない。
- 二種免許未所持者はまず免許を取得しなければならず、費用はタクシー会社が負担してくれたとしても、すぐに乗務することができない。
- 勤務時間が長く、特殊な勤務形態。
- 社会的イメージが悪い。
- 事件・事故に巻き込まれる恐れがある。
といったところでしょうか。言い方を変えれば「タクシー業界の闇」でもあります。
ただ逆に言えば、人手不足であるがゆえになりてが少ないということは、チャンスでもあります。
タクシー会社は、常時募集をかけている会社も少なくありません。時間をかければそれなりに稼ぐことはできます。
失業されている方や転職をお考えの方は、一度検討されてはいかがでしょうか?
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