新型コロナウィルス感染拡大をきっかけに、買い物やお薬の受取りの代行サービスをオプションで引き受けるサービスが全国のタクシー会社で広がっています。
では、なぜ買い物やお薬の受取りの代行サービスが、タクシー会社で実施されようとしているのでしょうか?
また対象者はどのような方で、利用者にとってのメリット・デメリットは?
そこで今回は、タクシー会社が「おつかいサービス」を実施する理由や、その内容について詳細に解説します。
この記事にかいてあること
✅タクシー会社が買い物やお薬の受取りの代行、いわゆる「おつかい」的なサービスを展開する理由や依頼方法・料金やメリット・デメリットについて、現役ドライバーが解説しています。
買い物・お薬の受取り等の代行サービスが増えている理由
「おつかいタクシー」などの名称で、タクシー会社によってサービス内容は異なります。
世界的な新型コロナウィルス感染拡大および全国での緊急事態宣言に伴い、外出を控えることが多くなり、買い物やお薬の受取りがしづらい方を対象に、タクシー会社が新たに考案したサービスです。
タクシー事業者は国土交通省の管轄ですので、認可を取得した会社のみ、このようなサービスが可能となります。
従来から、お年寄りや足の不自由な方、体調不良の方などのお客様に乗車いただくと、帰宅前にスーパー・コンビニ等へ寄って、ドライバーに現金を手渡し「○○を買ってきて」と言われることも、たまにあったりするのですが、昨今の現状を踏まえ、より明確にタクシー会社のオプションのサービスとして、運用を開始する拡がりをみせています。
新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が続く中、各地のタクシー会社が買い物や薬の受け取りなどを代行する「お使い」サービスを始めています。2002年から実施している「つつじ観光バス」(群馬県館林市)には他社から問い合わせが相次いでいるということです。 https://t.co/VmOU50Dwpi
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) May 3, 2020
タクシーの各種代行サービスのしくみ
タクシー会社が行う代行サービスで多いのが、「買い物・お薬の受取り」、他にも「病院の受付・お年寄りの安否確認」などもあります。
この代行サービスは、お年寄りや身体的に不自由な方、ウィルス感染が心配な方などを対象に、お客様がタクシーに乗車せずに、生活必需品の買い物や薬局でのお薬の受取りを、お客様に代わりドライバーが行います。
買い物の代行については、お年寄りの方など、ネットで買い物ができない方も多く、このようなサービスが立ち上がった理由のひとつと言えるかもしれません。
即ち、「おつかい」のようなことをするので、「おつかいタクシー」などと名称を付けている会社もあります。
料金は、「メーター料金」か「時間制の貸切料金」等になります。(詳細は後述)
では、代行サービスについて詳しく解説していきます。
買い物
スーパーや薬局などでの生活必需品の買い出しや、お客様が予め注文していた商品の受取りを代行します。
お米や飲料水などの重い荷物や、買い物の量が多いときに便利です。
ですが、高額商品や購入が難しい商品、テイクアウトの弁当など、タクシー会社により依頼が不可の場合もあります。
お薬の受取り
薬局でのお薬の受取りをドライバーが代行します。
予め、ドライバーが病院や薬局で薬を受け取ることが可能か、事前連絡や問い合わせが必要になります。
例えばお薬の受取りには、2つのケースがあります。
電話診療により病院から薬局に処方箋が送付されている:『薬局⇒自宅』
昨今は、電話診療でお薬の受取りが可能なこともあり、代行サービスの対象は、薬局から自宅までとなります。
つまり、お客様が電話診療をされて病院から薬局に処方箋が送付され、それをお客様がタクシー会社に電話やウェブで、お薬の受取りを依頼し、ご自宅へお届けするサービスとなります。
お客様自身は、タクシーに乗車しません。
概ね、以下の流れになります。
- お客様がタクシー会社へ電話やウェブ等で、希望日時に代行サービスの予約を取る。
- ドライバーが無線配車により指定された薬局へ行く。
- お客様ご指定のお薬を、ドライバーが料金を立て替えて支払う。(お客様からの依頼書等があれば、薬局へ提出)
- お預かりしたお薬を、薬局からお客様の自宅まで運ぶ。
- お客様の自宅へ到着後、お薬と領収書を手渡し、「(立て替えた)お薬代・タクシー料金」を頂戴する。
タクシー会社によっては、「おつかい料」「手数料」等の名目で、別途一定額の料金がかかることもあります。
お客様が処方箋を所持していてお薬の受取りを依頼:『自宅⇒薬局⇒自宅』
お客様が処方箋を所持しており、お薬の受取りをドライバーに依頼し、そのお客様はタクシーに乗車しないケースです。
つまり、お客様の自宅から処方箋を持って薬局へ行き、お薬を預かってお客様のご自宅へ届けるサービスとなります。
このケースでは、以下の流れになります。
- お客様がタクシー会社へ電話やウェブ等で、希望日時に代行サービスの予約を取る。
- ドライバーが無線配車により、お客様のご自宅に行く。
- 処方箋や依頼書を受取り、お客様指定の薬局へ行き、ご指定のお薬をドライバーが料金を立て替えて支払う。(お客様からの依頼書等があれば、薬局へ提出)
- お預かりしたお薬を、薬局からお客様の自宅まで運ぶ。
- お客様の自宅へ到着後、お薬と領収書を手渡し、「(立て替えた)お薬代・タクシー料金」を頂戴する。
何れも、お客様はタクシーに乗車せずに、ドライバーがお薬の受取りを代行します。
対象者
- お年寄り
- 身体の不自由な方や身体障害者・介護が必要な方など
- 子育て中の方で、子供を連れて外出しづらい方
- 体調不良の方
- ウィルス感染が心配な方
- 在宅勤務中で外出しづらい方
などを対象者としています。
依頼方法
依頼方法や手順・サービス内容もどこまでがドライバーが代行する範囲かは、タクシー会社により異なります。
まず、タクシー会社に電話をして問い合わせます。
買い物やお薬の受取りの代行サービスをしている場合は、希望する利用日時をオペレータに伝えます。
あとは、オペレータの指示に従い、予約を取ります。
新たにスタートしたサービスのため、全てのドライバーが細かいところまで理解・把握をしていないこともあるかもしれません。
わからないところは、予約時に問い合わせておきましょう。
料金
料金についても各タクシー会社により異なり、「メーター料金」か「時間制の貸切り料金」で清算します。
また上述しましたが、「おつかい料」や「手数料」などの名目で、別途一定額の金額を追加でお支払いいただく会社もあります。
メーター料金
上記の例で、『薬局⇒自宅』のケースで、お薬をドライバーが薬局で受取り、薬局を出発するときにメーターを入れて、お客様の自宅へ到着したときにメーターを止めることで、メーター料金を徴収します。
(メーターを入れるタイミングは一例であり、この限りではありません)
時間制の貸切り料金
料金メーターを入れるのではなく、予め定められた貸切り料金で、徴収する方法もあります。
例えば、30分単位で時間を区切って、かかった時間の料金で清算します。
0.5時間 | ¥3,000 |
1.0時間 | ¥6,000 |
1.5時間 | ¥9,000 |
メリット
- タクシーにお客様が乗車せずとも、買い物や電話診療でのお薬の受取りなどを、タクシードライバーに頼むことができる。
- お年寄り・身体的不自由な方・子育てや介護で外出しづらい方、およびウィルス感染が心配な方にとっては、便利なサービス。
デメリット
- 料金体系などは、タクシー会社によって異なるため、割高になることもあるかもしれません。
- 女性ドライバー限定で、執り行っている会社もありますが、「おつかい」的なことをする業務のため、そのタクシー会社の常連様であれば、気が利く運転手を指名した方がいいかもしれません。
まとめ:タクシー会社の新サービスでより便利に!
最後にまとめると、
- 「おつかいタクシー」や「おもいやりタクシー」などの名称、およびサービス内容・利用方法・料金・ドライバーの指名可否などについても各タクシー会社により異なる。
- サービス内容は、「買い物」「薬の受取り」「病院の受付」などの代行業務。
- 利用してほしい方は、お年寄り・身体的に不自由な方・子育て中や在宅勤務で外出しづらい方・感染が心配な方
といったところでしょうか。
飲食店がテイクアウト・持帰りに舵を切って売上を伸ばそうとしているのと同様に、タクシー会社も社会情勢を踏まえて、利用者の利便性を追求し拡充を狙って、利益を得るための生き残り策として、新たなサービスが生まれました。
今後、全国のタクシー会社に広まる見込みで、利用方法や料金・サービス内容については、各タクシー会社により異なります。
高齢化社会の日本において、都市部・地方を問わず運転免許を返納すると、普段の生活にも困り、タクシーを頻繁に利用する方もみえます。
今回の緊急事態宣言をきっかけに、従来は買い物に行くのもタクシーを呼んでいたのを、それ自体をドライバーが代行して、お客様が外出せずとも生活必需品が手に入れられたり、薬局でのお薬の受取りも代行する画期的なサービスです。
ぜひ、地元のタクシー会社にお問い合わせの上、ご利用していただきたいと思います。