2019年10月1日の消費税増税に伴い、国土交通省の通達により、税率引き上げ分を反映したタクシー運賃が適用されました。
増税分の値上げを上回る値上げの申請は見送られて継続審査となり、消費税増税分のみ、初乗り運賃の値上げ(10円程度)や、その距離を短縮して実質的な値上げをしています。(地域により異なります)
では増税前の料金より、どれほど値上げされたのでしょうか?
そこで今回は、消費税増税に伴う「タクシー運賃の値上げ」や「増税前との料金の比較」などを中心にまとめています。
この記事に書いてあること
✅10月からの消費税増税に伴う、値上げ・変更点などについて解説しています。
消費税増税によるタクシー運賃の値上げ(主要都市)
今回の消費税10%に伴う主要都市の「初乗り運賃」に関して、10月以降の変更についてまとめてみると、以下の様になります。
9月以前 10月以降
地域 | 初乗り運賃 | 初乗り距離 | 初乗り運賃 | 初乗り距離 |
東京 | ¥410 | 1.052km | ¥420 | 1.052km |
大阪 | ¥680 | 2.0km | ¥690 | 2.0km |
福岡 | ¥680 | 1.6km | ¥690 | 1.6km |
名古屋 | ¥450 | 1.05km | ¥450 | 1.031km |
東京・大阪・福岡に関しては、「初乗り距離」は据え置きで、運賃がいずれも10円値上げされています。
名古屋に関しては、「初乗り運賃」は据え置きで、距離が短縮されています。
このように、地域により対応は異なります。
タクシー運賃の改定のしくみと賃上げ申請
そもそもタクシー運賃は国土交通省の管轄のため、地域ごとに申請をして認可するしくみになっています。
増税分とともに賃上げを申請していた地域も全国で半数程あったものの、消費税増税と同時期に値上げをすると、景気悪化の懸念により見送りとなりました。
タクシー業界からすると、運転手の人手不足解消などに伴う待遇改善にと期待していましたが、今回の決定は非常に残念です。
要するに、消費税増税分のみ値上げをして、運賃そのものの値上げは据え置きになりました。
利用者にとっては喜ばしいことですが、タクシー業界からすると、都市部はともかく利用者の限られている地方では、運賃が値上げされないとタクシー業界は収入に結びつきません。
よって都市部はともかく、地方での人手不足解消にはつながらず、運転手個人の収入の下げ止まりは難しいと言わざるをえないのが現状です。
⇒タクシー運転手が地方で人手不足と減少する原因は?稼げない深刻な理由や闇を解説!
タクシー運賃の消費税10%に伴う変更点
地域により異なりますが、タクシー運賃の消費税増税に伴う変更点は、以下の3つに分類されます。
- 初乗り運賃の値上げ
- 初乗り距離を短縮
- 加算運賃の距離を短縮
それぞれ、具体例を挙げて解説します。
初乗り運賃の値上げ
これは、初乗り運賃が値上げされ、その距離は据え置きになります。
地域 | 初乗り運賃 | 初乗り距離 | 初乗り運賃 | 初乗り距離 |
大阪 | ¥680 | 2.0km | ¥690 | 2.0km |
上記の例でいうと、大阪での初乗り運賃¥680→¥690になり、その距離は変わらず2kmで、初乗り運賃が10円値上げとなります。
※初乗り運賃とは?
→タクシーに乗車した際に始めに表示される運賃で、一定の距離(初乗り距離)が定められています。(地域により異なります)
初乗り距離を短縮
これは、初乗り運賃を現行のまま据え置きし、その距離を短縮することにより、実質の値上げになります。
地域 | 初乗り運賃 | 初乗り距離 | 初乗り運賃 | 初乗り距離 |
名古屋 | ¥450 | 1.05km | ¥450 | 1.031km |
上記の例でいうと、名古屋での初乗り運賃¥450→¥450と据え置きし、距離は1.05km→1.031kmと短縮することにより、実質的な値上げをする形態をとっています。
食品で例えると、ある袋詰め食品があり、従来通り値段は変えずに内容量をやや少なくすることにより、実質的に値上げをするのと同様です。
加算運賃の距離を短縮
加算運賃とは、初乗り距離を超えて乗車した場合の、走行距離に応じた距離で計算される運賃のことです。
地域により異なりますが、例えば、初乗り距離2.0kmを超えたあと、250mを超えるごとに80円加算されていくしくみで、この80円が加算運賃となります。
加算運賃の大半が80円や90円なので、この金額は固定で、距離を短縮する方法を取ります。
例えば、250mから5m短縮して245mにすることにより、距離を短縮して実質的な値上げをすることになります。
タクシー料金の増税前後の比較
増税による値上げに関しては、地域により元々の運賃も値上げも異なるので、単純に比較はできませんが、今回は一例として、私が住む地域での料金の比較をまとめます。
9月以前 10月以降
初乗り運賃 | 初乗り距離 | 初乗り運賃 | 初乗り距離 |
¥650 | 1.5km | ¥650 | 1.473km |
加算運賃 | 247m毎に80円 | 243m毎に80円 |
時間距離併用制運賃 | 1分30秒毎に80円 | 1分30秒毎に80円 |
となることが、決定事項として通達されました。
ほんのわずかメーターが上がるのが早くなったような気はしますが、実際には時間距離併用制運賃のため、距離が短いとあまり変わらないのが正直な実感です。
このように、どの地域でも消費税増税分のみ「初乗り運賃・初乗り距離・加算運賃・(時間距離併用制運賃)」を変更して対応しています。
時間距離併用制運賃とは?
信号待ちや渋滞などにより、走行速度が10km以下になった場合や、お客様都合でタクシーを待機させる場合に適用される運賃で、上記の例では1分30秒毎に80円が加算されます。
タクシー業界の消費税切り替えのタイミング
今回10月1日から消費税率10%への変更に伴い、9月30日夕方頃から、深夜または翌朝まで全国のタクシー会社および個人タクシーが一斉に設定変更しましたが、どうやって設定の変更をしたのか、疑問に思いませんか?
そこで、設定変更の仕方と9月30日~10月1日にかけての全国のタクシー業界の舞台裏について簡単に紹介します。
メーターの設定変更の仕方
メーターの設定を多少いじる程度、時間にして数十分程度で設定変更できますので、社内の担当者が1台1台取りかかっていました。
10月1日からなので、日付が変わる前後のタイミングでないと設定変更ができないため、交代勤務やシフト制を取っていたり、大手の保有台数の多いタクシー会社では、徹夜で作業したところもあったかもしれません。
まとめ:消費税増税分のみの値上げにとどまる
10月の消費税増税に伴う、タクシー運賃改定として、
- 初乗り運賃の値上げ
- 初乗り距離の短縮
- 加算運賃の距離を短縮
地域により異なりますが、上記3つの方法で実質的に消費税増税分のみの値上げをしています。
利用者にとっては、消費税増税分の値上げにとどまり喜ばしいことですが、地方でタクシー業界に身を置く者からすると、運賃の値上げを見送られたことは残念です。
私の住む地方では、24年間運賃の値上げはされていないそうです。タクシー会社の収益が年々減少傾向にある中で、人手不足解消につながらず、ますます既存の運転手の高齢化が進みそうです。
⇒タクシー運賃・料金の値上げが決定!2020年2月より改定される理由や旧料金との比較を解説
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