タクシー運転手をしていると、時々お支払い頂くときに、「お釣りはいいです」とか「釣りはとっておいて」などと言われることがあります。
また、国内において何かしらサービスを受けたときに、チップを渡すという習慣はあまり一般的ではないですが、上記の「釣り銭とっておいて」とは別に、¥1,000~¥3,000程度のチップ(心付け)をいただくことも、時にはあります。
タクシー運転手にとってお客様からの「釣り銭」と「チップ」は、手取りを増やす貴重な収入源で、とてもありがたいことです。
では、お客様が良質なサービスを受けたときなどに、「釣り銭やチップ」を渡したいと思ったとき、いくらくらいか相場なのでしょうか?
そこで今回は、タクシー運転手がいただく「釣り銭とチップ」について解説します。
この記事に書いてあること
✅タクシー運転手のチップの相場はいくらなのか?
✅運転手にチップを手渡してほしい2つのケースとは?
について、現役ドライバーが解説しています。
タクシー運転手にとって「釣り銭をいただく=チップ」
冒頭でも述べたように、お支払いいただくときに「お釣りはとっておいて」と言って降車されるお客様はとてもありがたいです。
この釣り銭は、そのまま運転手の手取り収入となります。
よって、「チップ」をいただくことと同じことです。
ちなみに「チップ」とは、規定料金とは別に、サービスを受けたことに対して心付けとして相手に渡す現金のこと(ウィキペディア引用)ですが、この記事では便宜上、上記の釣り銭も含めて、「チップ」とします。
タクシー運転手へのチップの相場はいくらか?
まず、国内でのタクシー運転手へ手渡すチップは、いくらくらいなのか?解説します。
「釣り銭とっておいて」の相場は?
「釣り銭とっておいて」のケースでは、10円~数百円まで、金額は幅広くなります。
そのときのメーター料金によって異なるので、一概には言えません。
例えば、ワンメーター料金が¥570で、「近いところで申し訳ない」と千円札1枚出して、「お釣りは取っておいて」と、釣り銭¥430いただくこともあれば、メーター料金¥2,090で、千円札2枚と100円玉1枚で「お釣りはいいです」と釣り銭¥10いただくこともあります。
「チップ」の相場は?
タクシー運転手に手渡すチップ・心付けの金額の相場は、¥1,000~¥3,000程度が多いです。
釣り銭プラス千円札1枚いただくこともあれば、時々貸切の仕事をさせていただくと、謝礼として¥2,000~¥3,000程度、封筒やポチ袋に入れて、頂戴することもあります。
お客様からいただいたチップの最高額
管理人がお客様にいただいたチップの最高額は、形式的には「釣り銭取っておいて」になるのですが、「¥6,500」くらいいただいたことがありました。
50代のスーツを着たビジネスマンで、電車に乗り酔って寝過ごしてふた駅通り越してしまい、急行の停まらない駅から、タクシーを呼ばれて、たまたま私が無線配車されてお迎えに行きました。
終電まで30分程あったので電車はあり、その駅から乗り換えれば目的の駅まで行ける時間帯でしたが、市内の高級住宅街の団地まで、メーター料金¥3,500くらいになり、
「助かりました。これでもう結構です」
と、一万円札を出されて、¥6,500程の釣り銭(釣り銭というよりチップですが)をいただきました。
ちなみにそのご自宅は、圧倒されるようなお家でした。
やっぱりお金持ちは違うなーと、いただいて嬉しかったのですが、何か複雑な気持ちにもなりました。
タクシー運転手にチップを手渡した方がいい2つのケース
運転手の立場から、状況に応じて、お客様からチップ(心付け)をいただきたいシーンもあります。
特に以下の2つのケースを解説します。
トランクに大量に積む買い物をしたとき
スーパー・ショッピングモール・ホームセンター等で、まとめて大量の買い物をして、自宅へ帰るときにタクシーを呼ばれる方もみえます。
そのようなケースでは、運転手がお迎えに行ったときに、その荷物をトランクに載せるのを手伝うことになります。
また、自宅へ到着されても、玄関先まで荷物をいくつか運び、自宅と車両間を荷物を持って、数回往復することになります。
このような方は、お年寄りや年配の方または障害者の方が多く、「悪いけど荷物を運んでほしい」と言われる方がほとんどです。
運転手に荷物を自宅まで運ばせるときは、お支払いされるときに、少額で構いませんので、チップをいただきたいのが運転手の本音です。
たとえ少額でも、チップをいただくと、いただいた以上はやる気も出ますし、これも運転手の仕事だと割り切って荷物を運ぶことができます。
逆にいただかないと、口には出しませんが、「荷物運ばせて、お駄賃程度もくれねーのかよ!」と内心思うのが正直なところです。
このケースでは、大方はチップをいただけるのですが、稀に人の心の機微がわからない方もみえます。
運転手に荷物を玄関先まで運ばせるときは、少額で構いませんので、チップを渡すようにしていただくと、幸いです。
シートカバーや車内を汚したとき
車内で嘔吐や失禁をして、汚したときも同様に、降車される際にいくらか渡していただきたいのが正直なところです。
法人タクシーであれば、程度にもよりますが、車庫に戻って車内を清掃しなければなりません。
他人の汚物を除去し、シートカバーを取り替え、臭いを消さないと、次の営業(仕事)ができません。
会社に戻って車内を清掃していると、情けない気持ちにもなり、心が折れます。
他人の気持ちを理解していただけると、幸いです。
車内での「嘔吐」に関しての詳細は、下記記事をご覧ください!
まとめ:お客様からのチップはそのまま手取り収入になる
最後にまとめると、
- 運転手に荷物を運んでもらいたいときや、車内を著しく汚した時には、少額でもチップをいただきたいのが本音。
といったところでしょうか。
丁寧な接客、お客様の立場に立った接客態度により、この運転手なら数十円の釣銭ならくれてやる、親切にしてもらったから「コーヒーでも飲んで」と言って100円程度なら提供しようなどとと思われることもあるでしょう。
その積み重ねが、手取り収入につながっていくので、ひとつひとつの仕事を丁寧に確実にこなしていくことが大切だということを、再認識しました。
コロナショックにより、更なる景気の後退は避けられない状況ですが、タクシーに乗車し良質な接客をされたときなどに、少額でもいただけると嬉しいものです。
コメント
こちらの記事拝見いたしました。大変参考になります。
実は某旅行関連の海外掲示板にて日本ではチップを渡すことは侮辱的の行為にあたるので、たとえタクシーでもチップを渡してはいけないという趣旨の投稿を目にしました。そんなことはないだろうと思い検索しこちらの記事を見つけた次第です。
つきましては幾つかお伺いしたく存じます。
①キャッシュレス支払いの場合別途で「お釣りはいいです」的な少額お渡ししてもよろしいものでしょうか。また封筒など持ち備えていない場合現金そのままでも失礼にならないでしょうか。
②検索の際一部タクシー運転手がチップを受け取らなかったというケースを目にしました。これはどのような場合とご想像されますでしょうか。
③上で申しました様に、ある意味誤情報により外国人がチップを渡すことを控えているケースが多くあるかもしれない現状をどのように感じられますでしょうか。特に観光客の場合荷物を手伝う場面も多々あるかと察しますが。
お差し支えなければお手すきの際にお答えいただけますと幸いです。
サニ子様、当拙ブログ記事をご覧いただき、ありがとうございます。
ご質問の件ですが、あくまで管理人個人の意見として参考にしていただければと思います。
ドライバーによっては異なる意見もあるかもしれませんし、当ブログ記事内でも何度か述べさせていただいてますが、この業界は他業種でうまくいかずに転職されてくる方も多く、十人十色いろんな方がみえるので、個人により考え方にもバラつきが多々あると思います。
>>①キャッシュレス支払いの場合別途で「お釣りはいいです」的な少額お渡ししてもよろしいものでしょうか。また封筒など持ち備えていない場合現金そのままでも失礼にならないでしょうか。
元々日本には、一般的に何かサービスしてもらってチップを渡すという習慣はないですし、(法事でお坊さんに来てもらって心付けを渡すなどは別ですが)タクシーに乗車したからといって、チップを渡すとかいったことを別段考えなくても、全く問題ないです。
キャッシュレス決済の場合でも、特にチップのことなど考えることはありませんが、ドライバーの対応や接客態度が良かった・気分もよくなったりしたときは、封筒やポチ袋など持ち合わせていなくても、少額渡してあげても問題はありません。
あまり形式的なことにとらわれずに、そのドライバーさんの対応で、チップや「お釣りはいいです」的な少額を手渡してあげればいいのではないでしょうか。
接客態度が悪かったり、運転が荒過ぎる、いまひとつ気に入らないドライバーに手渡す必要はありません。
>>②検索の際一部タクシー運転手がチップを受け取らなかったというケースを目にしました。これはどのような場合とご想像されますでしょうか。
例えばですが、
1) お客様が外国人で、言葉がかなり分からず、行き先の聞き取りで苦労するなどしたあと、現金支払いで釣り銭をごまかされたと思われたくないとか。
または、釣り銭の金額が大きいとき、例えばメーター料金2000円くらいのところで万札を出して、釣り銭を渡そうとしてチップと言われたときに、金額が8000円で大きいと、あとでクレームになるかも…と思うかもしれません。
外国人ならば、クレカでの支払いが多いですが、現金の場合は、あまりに言葉が通じないケースでは、このようなこともあるかもしれません。
2) ドライバーが道を間違えたり、渋滞にハマった、工事していて迂回せざるをえずに距離が出てしまったなど、結果的に遠回りした、時間がかかったことで、メーター料金が高くなってしまい、お客様に申し分けない気持ちが働き、チップまで受け取ることはできないというドライバーもいるかもしれません。
3) お年寄りのお客様で多いのが、お支払いに時間がかかるケースで、目的地に到着してから財布を出して、小銭を探して支払うパターンで、数分かかることもよくあり、最長で15分くらいかかったこともあります。
停車させる場所によっては、他車の通行の妨げになりかねない所で停車したり、勤務時間がオーバーしてしまいそうなときなど、何かしら急いでいるときに、あまりノソノソされると、支払っていただいたあと、「コーヒー代でも」とまた財布をゴソゴソされたりすると、口には出さずともドライバーは、「もういいから早く降りて!」と思い、チップを拒否するかもしれません。
>>③上で申しました様に、ある意味誤情報により外国人がチップを渡すことを控えているケースが多くあるかもしれない現状をどのように感じられますでしょうか。特に観光客の場合荷物を手伝う場面も多々あるかと察しますが。
一般のタクシー業務では、観光客のスーツケース・鞄・手荷物の積み下ろしもドライバーの仕事の一つですから、チップをいただかなくても何とも思いませんが、タクシーを貸切って観光する場合は、考慮したほうがいいかもしれません
ジャンボタクシーや一般タクシー車両での「貸切」仕事で観光目的の場合、(メーター料金ではなく、予め1時間数千円で何時間と契約して貸切とする形態で、事前にプランを打ち合わせして
支払いはその場で精算するor後日振込)、その日ドライバーと車中では共にするのですから、チップはポチ袋に入れるなどして頂ければ、ドライバーは手取り収入になり喜びます。
観光目的ではなく仕事・出張で来ているときの送迎で、貸切のケースもありますが、(例えば空港に迎えに行って遠方のホテルへ送迎する等)そういったときのチップは、個人的には必要ないと思います。
ジャンボタクシーに関しては、サイドバーのカテゴリーから「ジャンボタクシー利用者」を選択して頂くと、それに関する記事を発信していますので、よろしければ参考になさって下さい。
冒頭でも述べましたが、日本にはチップという習慣がないので、外国人観光客の方がタクシーに乗りチップを渡すことを控えていても、特に何とも思わないのが個人的な意見です。
もちろん、いただければありがたいですし、嬉しいものです。
長くなりましたが、参考にしていただければ幸いです。
お忙しい中丁寧にご説明いただき誠にありがとうございます。とても勉強になります。ジャンボタクシーの記事も含め他の記事も拝読し参考にしたく存じます。どうもありがとうございました。