タクシー運転手になって、早5年が過ぎ、道を間違えることも少なくなりましたが、それでも行き先を聞いたときにお客様と意思の疎通ができておらず、道を間違えたりすることもあります。
また、集中力がなくボーッとしていて、交差点を曲がらなければならないところを、行き過ぎてしまったりなど、時々やらかすときがあります。
結果的に遠回りになってしまったとき、運転手はどう対処しているのか?クレームを回避する術がいくつかあります。
そこで今回は、遠回りしてしまったときの、運賃におけるクレームを回避する対処方法を紹介します。
この記事に書いてあること
✅タクシーが目的地や道を間違えて遠回りになった場合、料金増額になってクレームが発生するのを回避するための運転手が使う裏技について、現役ドライバーが解説しています。
タクシー運転手の全てが遠回りしてやろうと考えているわけではない
言葉は悪いですが、「遠回りをして距離を稼いで、お客から少しでも金をとってやろう」と運転手の全ての人が考えているわけではありません。
不特定の方を乗せるタクシーではいろんな方がみえるので、クレームを100%回避するのは困難ですが、とりわけクレームの中で多いのが、「遠回りをした」というものです。
クレームはどの運転手も、できるだけ避けたいものです。
それは、客と口論になり、運転手自身も気分が悪くなりますし、時間もロスして売上も下がり、所属する会社へ電話が行くと始末書を書いたり、上司から指導を受けるなど、精神的にも疲弊します。
よって運転手は、クレームを回避するため基本的に遠回りはしません。
但し、運転手も十人十色ですので、客を見てわざと遠回りする人が多かれ少なかれいるのも事実です。
最短距離や合理的なルートで送り届ける方が、早くその仕事を終わらせることができて、次の仕事に向かうことができます。
結果的に乗車回数を増やせることにつながります。
タクシーにおける旅客運送契約について
お客様がタクシーに乗車されると、タクシー側(法人/個人)とお客様の間で「旅客運送契約」が成立します。
運転手は道路状況に応じて、最も早く到着するであろう最善の合理的なルートを選び、安全に乗客を運ぶ債務を負うことになり、法的にも、遠回りをしてはいけないことになっています。
タクシーが道を間違えるとき
運転手も人間ですので、道を間違えることもあります。
タクシーが道を間違えるときは、およそ以下の3つです。
運転手の不注意によるミス
基本的に長時間労働ですので、集中力を欠いたり、忙しいときは疲れていても休憩を取る間もなく無線配車があり、お客様に乗車されると空車で運転しているときより緊張感は増すのですが、やらかすときもあります。
交差点で曲がらなければならないときや、夜暗くてどこに交差点があるのか見えにくいときなどで、行き過ぎてしまうこともあります。
聞き取った場所を間違えた
聞き取りの間違いを防ぐため、お客様が運転手に行き先を告げたあとそれを復唱するのですが、中には活舌の悪い方や早口の方、耳が遠い方もみえます。
経験談で言うと活舌の悪い方で実際にあったのが、
お客様:「○○○メンタルクリニックまで」
運転手:「○○○みなみクリニックまでですね」
お客様:「はい」
と、復唱したにも関わらず、「メンタル」と「みなみ」を聞き取り間違いをしてしまい、その「○○○みなみクリニック」へ到着後、お客様が「○○○メンタルクリニックなんですけど・・・」となってしまったことがありました。
その2つのクリニックは、乗車場からは方向が真逆なのですが、そのお客様も私が復唱したあと聞き取り間違いをしたのか「はい」と言ったので、「○○○みなみクリニック」まで向かい到着後に場所を間違えたことに気付いたのでした。
またあとから聞いたのですが、方向が真逆であるにも関わらず、そのお客様はおかしいと思いつつ黙っていたのですが、メンタルクリニックへ行かれる方なので、精神的に病んでいるのか言いづらかったようです。
道を知らない
新人のときなど道を知らずに、ナビでは確認しているものの、お客様も道をよく知らないケースでは、道を間違えることもあります。
また、新しくできた住宅団地などは、ナビが更新されていないと道がよくわからないこともあります。
タクシーが結果的に遠回りしたときの運転手の対処方法
ここからが本題です。
運転手が道を間違えてしまうと、結果的に遠回りになってしまいメーター料金は上がります。お客様からすれば、その距離や間違え方、状況などにもよりますが「余分に支払いをしなければならないのか?」と思うでしょう。
運転手もクレームや下手に揉めることをを避けたいので、いくつか対処方法があります。
現金支払いのときは料金メーターを早めに止める
現金支払いの場合は、お客様に確認を取った後で、走行中でも早めにメーターを止めます。
そのとき、目的地までの料金がわかっているときとわからないときがありますので、以下に説明します。
目的地までのおよその料金がわかっているとき
乗車場から目的地まで、およその料金が予めわかっている場合は、その金額になったところで、メーターを止めます。
上記の例で言うと、大体料金的には、
「○○○みなみクリニック」→¥890
「○○○メンタルクリニック」→¥1,130
なので、間違えて到着した「○○○みなみクリニック」から「○○○メンタルクリニック」へ行く道中で、¥1,130になるので現金支払いを確認した上で、メーターを止めて領収書を出し、
『「○○○メンタルクリニック」まで、大体いつも¥1,130くらいなので、¥1,130でメーター止めますので』
と言ってその金額でお支払いいただきます。
メーターを止めずに「○○○メンタルクリニック」まで行けば、恐らく¥1,600くらいになるでしょうから、お客様からすれば、いつもの1.5倍程度の金額を支払わなければならなくなります。
このケースでは金額がさほど高くないのでまだいいのですが、クレームになりかねない事象ですので、このように対処する方法もあります。
目的地までおよその料金がわからないとき
メーターを適度なところで早めに止める
その状況によって、大体このくらいの料金になるだろうと自分で予測して、早めに止めることもあります。
スマホの「タクシー料金検索アプリ」で検索
スマホのアプリで「タクシー料金アプリ」があります。本来はタクシーの利用者向けのアプリで、表示される地図上の2か所をタップすると、その2か所の距離からアプリが自動的にルートを選び、およその料金がわかります。
実際に走行するルートと異なる場合は、多少変わりますが大体の料金がわかりますので、信号待ちのときにサクっと検索して、その料金の金額になったらメーターを止めます。
もちろん、お客様にはその旨を説明して、納得していただいた上で上記の方法をとります。
キャッシュレス決済ではメーターを早く止めて辻褄を合わせることができない
クレジットカードやスマホ決済などでは、タクシー会社の決済システムにもよるが、車両がその停止している場所でしか決済できないようになっています。
例えば、クレジットカード決済では、その処理を行うときに電波で通信を行うのですが、決済中にレシートがプリンターから印字されているときに車両を動かすと、正常に処理されません。
よって、遠回りをしてしまって、一旦道中で安全なところで停止して、キャッシュレス決済をしてから(その後メーターは入れずに)目的地へ向かうなどということは、より時間がかかってしまってお客様に多大な迷惑をかけてしまいます。
道を間違えたあとに、お支払いがキャッシュレス決済の場合、平謝りするしかありません。
このようなケースで、私も一度新人の頃やらかしたことがあり、その人は仕事で出張で来ていた人達でしたが、降車の際もムッとしていました。
会社の経費で落とせることもあるので、あまり言われませんでしたが、結果的に結構遠回りしてしまったので、クレームになっても仕方がないミスでした。
もうひとつ、キャッシュレス決済ではないですが、事前にタクシーチケットや未収扱いでのお支払いを知っているケースでは、運転手の心理として、多少遠回りになっても構わないので、その運転手や状況にもよりますが、最短距離や最善のルートから多少外れることもありえます。
まとめ:遠回りしてしまったときに運転手は、クレームを回避することを考える
最後にまとめると、
- タクシー運転手の全てが、遠回りしてやろうと考えているわけではない。
- 「旅客運送契約」が成立すると、法的にも最善の合理的なルートで目的地へ向かわなければならず、本来、遠回りは許されない。
- タクシー運転手も人間なので、目的地や道を間違えることもある。
目的地や道を間違えて、結果的に遠回りした場合
- 運転手は、料金が高くなることによるクレームを回避することを考える。
- 現金支払いならば、お客様に納得していただけるように話して、正規に近い料金でメーターを止めて辻褄を合わせる。
- キャッシュレス決済では、システム上メーターを早く止めることができない。
といったところでしょうか。
日本はキャッシュレス決済後進国なので、タクシーにおいても9割くらいは現金決済です。
よって、このように道を間違えたときは現金決済の方が融通が利くので、便利ではあります。
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