劇場版23作目「名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)」は、例年通り4月から5月にかけて、昨年2019年に公開されて、シリーズ最高の興行収入を記録しました。
その中で「中富海運のタンカーやメダルの謎」を筆頭に、その他ツッコミどころについての私見をまとめてみます。
名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)のツッコミどころまとめ
レイチェルが毛利小五郎に相談しようとして中富メダルを忍ばせたのは?
レイチェルが身の危険を感じ、毛利小五郎のいるバーに出向き、打ち明けようとしたときにレオンの手下に見つかり、咄嗟にグラスを毛利の服へこぼしてメダルを忍ばせたようですが、ポケットへ入れれば済む話では?
そもそも「海運会社のメダル」って何でしょう?
スロットのメダルならわかりますが、中富海運はパチスロも経営しているのでしょうか?
それとも記念メダル?
服が変わってもパスポートケースに入れておけば、気付いてもらえる可能性が高いと判断したのでしょうか?
であれば、名刺に書いておけば済むと思いますが、メダルの方が見栄えが良かったのかもしれません。
中富海運を示唆するアイテムというのはわかりますが、今一つメダルの意味がわかりませんでした。
引用元:劇場版「名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)」
タンカーは巨大な船で陸地に近づけば座礁する
毛利小五郎がマリーナベイサンズの屋上で酔っぱらっているところで、狭い川をホテルへ向けてタンカーが向かってきましたが、タンカーが入港する港でなければ、その前に座礁してしまいます。
タンカーは、甲板から船底まで大体20m程あります。
特殊部隊がヘリで降りて制圧し、暴走したタンカーを止めるのに、陸地にぶつけて止まりましたが、川沿いの堤防へ相当なスピードで激突するということは、堤防沿いも直線的に深くない限り、その前に座礁しています。
しかもグーグルマップで確認すると、このマリーナ湾(ベイ)、かなり浅そうです。
引用元:劇場版「名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)」
ちなみに、タンカーが激突した付近の実際の堤防の形状は…、
引用元:Google Map
クルーザーでも座礁しそうです。
後述しますが、タンカーの速度は時速30km以下です。
原油を積んでいるタンカーを海沿いの入り組んだところにあるホテルへ突っ込ませて、爆破させるなど計画自体が破綻しています。
仮に時限爆弾をセットしていたとしても、ホテルの近くへタンカーを持ってこなければならず、海底・川底の深さ、他の船が入らないように海上に堰(マリーナバラージ)がしてあり、それをぶち破って侵入するのも無理があると思います。
その堰の上を観光客が渡れるようにしてあり、強度がどれ程のものかわかりませんが、コンクリート製の堰に激突し、船首が無傷で速度も落とさずに侵入することは不可能では?と考えます。
引用元:Google Map
ましてそれを首謀者が高見の見物をしようとしてそのホテルの屋上にいるというのも、おかしな話です。
レオンの計画は街を作り直すために、今ある街を一気に破壊してしまうことでしょうから。
タンカーの走行速度は時速30km程
劇中でのタンカーは、すぐ船首が動いていましたが、数十万トンの船が俊敏に動けるはずがありません。
タンカーの速度は、15ノット程度で時速およそ27km程度です。
タンカーは貨物の量が重要視されるため、速度は重要視されていません。
それに巨大な船は、急に止まることができず、15ノットで急ブレーキをかけても停止するのに4km以上、15分程かかります。
タンカーの一般的な写真では、波しぶきが立って何となくスピードが出ているような印象を受けますが、実際の速度はとてもゆっくりです。
BGMの音源とハラハラドキドキ感で、誤魔化されました(笑)
以前、造船所での勤務経験のある管理人は、タンカー等の大型船をある程度知っている目線で観たので、タンカーの描写について納得し難く、どこか冷めた目で観てしまい、クライマックスに向けての始まりのシーンでしたが、あまり感情移入できず、惹き込まれませんでした。
少々設定に無理があり、「なんだこれ?」という印象は拭えず少々残念な気持ちになってしまいました。
引用元:劇場版「名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)」
ロケットランチャーで屋上のプールだけ外れる?
ロケットランチャーでミサイルを撃ち込んで屋上のプールだけキレイに外れて海面に落下するなど、建物の構造上絶対にありえません。
しかも地上200~300mから海面に落下して、投げ出されずにずぶ濡れにもならず、怪我もせず何事もなかったように生きている…。
絵的には面白いですが、「なんでこうなるの?」と思ってしまいました。
引用元:劇場版「名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)」
コナンはなぜシンガポールで日焼けしていた?
スーツケースに詰め込まれただけで日焼けする?その経緯のくだりもない。
日焼けしただけで声は同じなら、気付かないわけないし、何でそんな簡単に騙されるの?
百歩譲ってコナンが薬とかで日焼けしたとしても、ラストシーンで日本に帰ってきたら日焼けする前の肌に戻っているという、どうやって皮膚の色を戻したのか?
蘭はキッドの変装を見破っているのに、日焼けしかしていないコナンの嘘が見破れないわけないでしょう。
引用元:劇場版「名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)」
怪盗キッドが紺青の拳(フィスト)をレオンに返したのは?
せっかく目当ての紺青の拳(フィスト)を手に入れたのに、わざわざレオンに返したのはなぜなのか?
理由として考えられるのは、
- 偽物だった。
- 結果的に横取りした形になり、難易度の高い状況で盗んだわけではないために、彼の美学に反した。
拳銃で撃たれてまで、目当てのものを手に入れても横取りしたものであれば、彼にとって価値がないのかもしれません。
引用元:劇場版「名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)」
京極真はミサンガが切れるまでなぜ本気を出さないのか?
自身の身の危険と、鈴木園子が奪われる事態に陥っているのに、なぜミサンガが切れることにこだわるのか?
まるでレオンに暗示をかけられたかのように、そこだけは忠実に守っていたのが意味不明で、コナンに促されてキッドがトランプ銃でミサンガを切って彼を覚醒させるという、よく考えれば滅茶苦茶な演出でした。
やはりアクション映画やドラマ・ヒーローもののセオリーで、必殺技や派手に打ちのめすシーンで畳みかける絵が欲しかったのだろうと考察します。
引用元:劇場版「名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)」
サスペンスもののセオリーを踏襲する演出はGOOD
これはツッコミどころではないですが、サスペンスもののセオリーとして、「人が良さそう」とか「この人は犯人ではなさそう」など、「まさか、この人が犯人!?」といった人物を黒幕に仕立てることが多いです。
この作品に関しても、礼儀正しく・正義感の強い人物を犯人にして、「えっ。まさか?」という方向性にしており、演出や謎だらけの設定はともかく、自然とスクリーンに惹き込まれていきました。
引用元:劇場版「名探偵コナン 紺青の拳(フィスト)」
まとめ:ツッコミどころ満載もシリーズ興収1位は伊達ではない!
「中富海運のタンカー」に関して、
- タンカーをホテルへ突っ込ませる以前に座礁してしまう。
- 「中富海運のメダル」が今一つ意味不明。
他ツッコミどころで言うと、
- コナンの日焼けで蘭たちが騙される。
- 怪盗キッドが最後レオンに紺青の拳を返したのは?
- 京極真は身の危険が迫っているのにミサンガが切れるまで本気を出さなかったのは?
など、細かくいえばキリがありません。
ですがシリーズ興収1位は伊達ではなく、アクションシーンや大掛かりな現実的にはありえない演出は、映画館のスクリーンで観ると相当の迫力で、完全に子供向けに振っているわけでもなく、色恋沙汰も交えるなど大人にも訴求する出来映えでした。
大野先生のBGMもハマっていて、主題歌もカッコいいです。
ツッコミどころは満載ですが、面白く仕上がっています。