タクシーとは、ドライバーに行き先を告げて、任意の目的地へ送迎する交通機関です。
電車やバスのように、予め目的地が決まっていないので、ドライバーに目的地を告げなければなりません。
お客様がタクシーに乗車されたときに、行き先を伝えて目的地に向かうのが、タクシードライバーの職務ですが、行き先の伝え方は十人十色で、要領よく伝えられる方もいれば、「そんな言い方で赤の他人がわかるかよ!」と思うような方もみえます。
そこで今回は、ドライバーにすぐに理解してもらえる行き先の上手な伝え方や、説明の仕方を解説します。
この記事に書いてあること
✅タクシーに乗車した際の行き先・目的地の伝え方や、行き先間違いを防ぐ説明の仕方等を、現役ドライバーが解説しています。
タクシー運転手に伝わる目的地(行き先)の伝え方のコツ
タクシーに乗車後、行き先・目的地を告げる際に、ドライバーに伝わりやすい言い方・説明の仕方を解説します。
目的地を明確に伝える
まず、お客様がタクシーに乗車されたら、目的地を明確に伝えることが大前提です。
大方のお客様は、酔っ払っていたとしても乗車直後に、目的地を明確にドライバーに告げるのですが稀に、
「とりあえず、ココまっすぐ行って!道は言うから。」と目的地を言わない乗客がいます。
「どの辺りですか?」と聞いても、
「道は言うから!」の一点張りで、目的地を言おうとしない…。
ドライバーの心境は、「タクシーに乗ったのなら、行き先・目的地をハッキリと言え!」と口には出しませんが、ムカッときます。
道順・ルートを指示していただくのはいいのですが、近いのか?それなりに距離があるのか?どこまで行くのかわからないと、ドライバーは不安ですし、運転に集中しづらく安全への配慮が欠ける傾向になりがちです。
また、ドライバーは基本的に最短ルートで目的地に向かうことを考えるため、結果として遠回りになってしまうこともあります。
お客様が道順を指示して、結果的に遠回りになるのであれば、その分料金メーターは余計に上がるので、ドライバーとしてはありがたいことですが、いずれにしても、タクシーに乗車されたら、まず目的地を明確に伝えましょう。
地名や町村名を伝える
地名や町村名を伝えると、向かうべき方向がわかります。
ドライバーはわからなければ、乗客に詳しく聞き取ったり、道を知っていれば案内してもらったり、ナビに入力するなどします。
ただ、年配のお客様で、今は使われていない以前の昔の地名を言われる方もみえるのですが、その地域で乗務するドライバー全てが、地元出身者ではないことも多く、現在使われている似たような地名などでは、間違いが起きることも考えられます。
住所を正確に伝える
現代のタクシーの多くは、ナビを装着している車両が大半です。
よって、住所を正確に伝えるのも間違いのない方法です。
日本語が拙い外国人、とりわけ出稼ぎで研修生として来日している外国人などは、スマホに住所をメモしたり、撮影したりしてそれをドライバーに見せることをよくします。
ただし、ナビを装着していない車両や、年配の方でナビの操作に疎いドライバーもいますから、その際は口頭で伝えるようにしましょう。
ランドマーク(目印)になるような建物や施設・交差点等を伝える
その地域で誰もが知っているランドマークになるような建物・施設・交差点・道路の名称を言うと、ドライバーは、すぐに理解します。
但し、行き先がそのランドマークであれば問題ありませんが、その付近である場合は、
「近くに行ったら、また説明します」とか「○○道路から行って」などと言うと、取るべきルートを考慮し、予測もつきやすいです。
地図や資料をドライバーに見せる
ビジネスマンの出張やお見舞い等、その他所用で、お客様がその地域へ行ったことがないケースでは、その行き先がわかる資料(印刷された地図や住所および電話番号)やスマホのマップ等を、ドライバーに見せると、理解してもらいやすくなります。
乗車中にドライバーに指示をするときは余裕を持って早めに
お客様が乗車中に指示するときは(右左折するときや停車してほしいところ等)、数百メートル手前から早めにドライバーに伝えましょう。
特に右左折する直前に言われても、道路状況によっては車線変更ができないときもあります。
任意のところで停車したいケースでも、道幅の狭い道路やそれ以外でも、後続車および対向車がいる場合、道路状況によっては停車できないこともあります。
指示が遅い場合は、ドライバーから「もっと早めに、言ってもらえませんか?」と強めの口調で注文が入ることもあります。
急停車・急ハンドルの操作は、事故を誘発し危険だからです。
コツとしては、走行中
- 「次の2つ目の信号を左に」
- 「標識の手前で降ろして下さい」
- 「今から3つ目の街灯の下辺りで降ろして下さい」
など、ドライバーに指示を出す場合は、余裕を持って早めにするようにしましょう。
タクシーで行き先の伝え方が上手である場合のメリット
乗車後に短時間で出発することができる
ドライバーがお客様から目的地を聞き取って、すぐに出発することが可能になります。
急いでいるときに早く出発させてほしいと焦っても、伝え方・言い方が良くないと、ドライバーは認識することができず、出発することができません。
「他人に伝わる言い方」を考えて、言葉を選びましょう。
まして、お客様が勝手にイライラして急ぐように急かしたところで、到着時間などほとんど変わりません。
むしろ、ドライバーへどう目的地を言えばよいかを、端的に頭の中でまとめておくことが、乗車して、すぐに出発することにもつながります。
タクシーで行き先の伝え方が下手である場合のデメリット
逆に行き先の伝え方が下手だとどうなるでしょうか?
出発するまでに時間がかかる
たまにあるのが、乗車した瞬間にど忘れしてしまうパターン。
このケースでは、乗客が思い出そうとしているので、少し待ったり、お年寄りが病院へ行くのに、病院名を忘れたときは、「診察券を見せて下さい」などと言うと、思い出すこともよくあります。
あまりに思い出すのに時間がかかっているときは、
「一度降りていただいて、電話するなり調べるなり、行き先を思い出してからまた乗って下さい。」
と言うこともあります。
いずれにしても、タクシーに乗車後、ドライバーが目的地を把握しなければ出発することができないため、時間のロスを生みます。
認知症やメンタル異常を疑うことも
乗車された際に、この人少し頭がおかしいのでは?認知症?メンタルがおかしい?などとドライバーに疑われると、乗車拒否はできないとはいえ、ドライバーもややこしい人を乗せたくないので、冷たくあしらわれることもあります。
軽度の認知症やメンタル異常者は、言動でおよそわかりますが、認知症やメンタル不調などで、『まとも』でない人は、酔っ払いよりも始末に悪いこともあります。
親切なドライバーもいますが、お客さんを乗せて運賃をいただき金を稼ぐ仕事ですから、おかしな客と関わると時間もロスし、時には警察に介入してもらわなければならなくなることもあり、ややこしいことには巻き込まれたくないのが本音です。
よって、そのような方と間違われないように、ある程度はどのように伝えるか、考えておきましょう。
まとめ:目的地を明確に・地図等を見せる・早めに指示する
最後にまとめると、
- タクシーに乗車したら、行き先を明確に伝えましょう。
- 「とりあえず、ココまっすぐ行って」と開口一番に言わず、地名や住所・ランドマークになるようなところを言うと、ドライバーに嫌われない。
- 地図や資料、スマホのマップ等をドライバーに見せる。
- お客様が道案内をするときは、余裕を持って早めにドライバーに指示をする。
といったところでしょうか。
タクシーに乗車されたときに、開口一番行き先の伝え方ひとつで、その人の人間性が瞬時に判断できることもしばしばあります。
お客様が道案内をしていただくのは結構ですが、それは先に目的地をドライバーに告げた後に、「ここ左に曲がって、しばらくまっすぐ・・・」などと言うようにしましょう。
それが抜けていると、近いのか遠いのかもわからないと、感情的なことも含めて、いろんなことをドライバーは瞬時に考えるため、注意力が散漫になりやすく、例えば信号を見落とすなどのミスもあり得るため、危険が伴います。