ご乗車されてお支払いされるとき、1万円札(万札)を出されることはよくあります。最近はSNSで、運転手に万札を出したら釣銭が無いとか、怒られたとかの投稿もあるようで、3か月程前には朝の某情報番組でも取り上げられていたようです。
そこで今回は、タクシーの支払いで万札や五千円札を出すのは非常識にあたるのか?万札での支払いにおけるちょっとしたコツや、サービス業において釣銭など準備しておくのが当たり前でしょ!?といったお客さんの立場として疑問に思うことを、現役ドライバーが解説します。
この記事に書いてあること
✅タクシーの支払いで、万札や五千円札を出すことに関して、現役ドライバーの立場から詳細に解説しています。
タクシーで万札・五千円札の支払いは非常識・マナー違反か?
個人的な見解ですが、私の場合は、¥2,000くらいの距離で万札を出されたら「仕方ないなー」って思いますが、ワンメーターや三桁・¥1,000くらいで万札を出されると、口には出しませんが少々ムカっとします。
「千円札の1枚2枚持ってねーのかよ!」って内心思います。
一言、「大きいのしかない。申し訳ない」といってもらえると、人の気持ちがわかる人だなと思い、イラ立ちも一瞬にして消えますが、当たり前のように何も言わず出されると、運転手は腹が立つものです。
運転手も十人十色ですから、ここで露骨にキツイことを言ったり怒ったりする運転手もいます。
タクシーはサービス業、釣銭を準備しておくのが当たり前
タクシー稼業はサービス業ですので、サービスの対価としてお客さんにお支払い頂くのですから釣銭を準備しておくのは当たり前です。
ですが、万札でお支払いされるとタクシー運転手も崩さなければなりません。これにひと手間掛かります。だから、万札を出されるのを嫌がります。
平日なら、営業時間内のメインバンクのATMに万札を入れて、¥1,000札で10枚出しても手数料はかかりませんが、土日祝日は手数料がかかります。
自分の現金を両替するのに手数料を取られていたら、バカバカしくなります。
万札が貯まってくるとスーパーやコンビニ等で買い物をして、崩して釣銭をつくらなければならなくなります。
特に土日祝日や大型連休は、経験上万札で支払われることが多い傾向にあります。
では逆に、そのスーパーやコンビニなどの店舗は、万札でお支払いされると嫌がられるのでしょうか?
タクシーと店舗ビジネスの違い
タクシーも店舗も同じ客商売ですが、店舗ビジネスの場合は、その店に売上金も含めた現金がある程度準備(保管)されていることが一般的です。
ですから、万札での支払いが続いても、店内のレジや金庫に釣銭(現金)のストックが一定数あるため、営業中に釣銭がなくなったといって、銀行やコンビニに行って崩しにいくことなど考えられません。
ところがタクシーの場合は、運転手により個人差はありますが、多額の釣銭用の現金を持ち歩いていません。
よって、3~4回万札を出されると、崩しにいって釣銭をつくらなければ仕事にならなくなります。
ここがタクシーと店舗ビジネスの違いです。
朝の某情報番組のコメンテーターの見解について
余談になりますが、以前朝の某情報番組でコメンテーターが、「タクシー料金を万札で支払うのはアリかナシか」についてコメントしていました。要約すると、
「ラーメン屋で¥1,000くらいのものを食べて、万札を出して客が怒られることなどありえない。釣銭はタクシー運転手が準備するのが当然であって、万札を出されて客に怒るのは、タクシー側の甘えだ。」
と言っていたそうです。全くもって正論で間違っていません。
ただ、上記にも記したように、同じ客商売とはいえタクシーと店舗ビジネスとひとまとめにするのは、いささか暴論ではないでしょうか。
個人的には、公共の電波で幾多の人々が視ているのですから、もう少し広い視野からコメントしていただけたらと思いました。
タクシーの支払いは現金ではなくキャッシュレスにする
最近は、クレジットカードはもちろん、タクシー会社専用のプリペイドカード、スマホのキャッシュレス決済など多様な支払いが可能になっています。
タクシー会社により対応している支払い方法も異なりますが、そもそも現金支払いの習慣を徐々にやめて、キャッシュレス化を個人で進めていくのもひとつの方法です。
タクシーで万札で支払うときのコツ
タクシーに乗車されて万札しかないとき、どうすればよいでしょうか?
乗車されたタクシーがクレジット払い対応でも、普段から現金支払い派の人は、クレジットカードを財布に入れていてもなかなか使いにくいのではないでしょうか?実際に私がそうです。
日本は「キャッシュレス後進国」と言われ、キャッシュレス化があまり進んでいないようで、タクシーの支払いにおいても、大体8~9割は現金支払いです。
一日の勤務で、お客様を乗せて走行した回数が20回くらいあっても、全て現金決済のときもよくあります。
そこで、万札で支払う際のちょっとしたコツを、現役ドライバーがお教えします。
万札で支払うときは、乗車された時点で告白する
乗車された時点で最初に支払い方法を言うお客さんは、運転手からすると好感が持てて安心感を抱きます。
ですから、万札で支払おうとする場合は、最初に言う方が目的地に着いて最後に言うよりはいいと思います。
ただ、やはり三桁など近距離の場合は特に、ムカっときて「釣銭が無い」などと怒り出す運転手もいるかもしれません。
運転手の態度が柔和なとき
「構いませんよ」と柔らかい態度で返してきたときは、そのまま乗車されたらいいと思います。
運転手がキツイ態度または怒り出したとき
- 他に車両がいる場合は、その車両から降りてうしろの車列のタクシーに乗るのもひとつの方法です。
- クレジットカードは使えますか?など他の決済方法ができるか確認して、キャッシュレスで決済することも検討しましょう。
タクシーは、近距離だからとか釣銭が無いという理由で、乗車拒否はできません。
前述したように、「大きいのしかない。申し訳ない」といった言葉を言って頂くと、「仕方がない」と運転手は思うので、謝る必要性はないですが、気遣いが見て取れると何とも思わなくなります(個人差はありますが)。
タクシーで五千円札で支払うと運転手はどう思うか?
では、五千円札ではどうでしょうか?
運転手により考え方が異なるかもしれませんが、私は五千円札でお支払いされると嬉しいです。
万札に比べて釣銭の千円札が出ていく枚数が少ないですし、五千円札は不足することが度々あり、お客さんに出していただくと「ありがたい」って思います。
お客さんによっては、「大きいのしかない」と言いながら、五千円札で支払われる方がいるのですが、内心「いえいえ全然大きくないです。五千円札出してもらえると助かります」って感謝しています。
ですので、五千円札は全然大きくないですし、万札で支払われるより運転手は助かります。
タクシーでキャッシュレスの支払いを・・・
繰り返しますが、日本は「キャッシュレス決済後進国」ということを、タクシー運転手をしていると痛感します。
平成も30年が過ぎ、令和になっても未だに現金決済が当たり前で、クレジットカード・電子マネー・おサイフケータイ、ここ最近ではスマホ決済とプラットフォームは充実しているにも関わらず、キャッシュレス決済があまり進んでいないのがこの国の現状です。
オリンピックや消費税増税、少子化に伴い、政府が旗を振ってキャッシュレス化を進めていますが、地方でタクシー運転手をしていると、昭和が終わって30年余り、お金の支払いだけは何も変わっていないことを実感します。
実は私も現金決済派で、カード決済などネットを除いてしたことがありませんので、人のことは言えないですが、もっとキャッシュレス化が進めば、釣銭をつくらなければとか考えなくてもいいので、そういう社会になっていってほしいと思います。
はっきり言えば、運転手は現金決済よりキャッシュレス決済の方が楽です。
まとめ:なるべく万札は出さない・五千円札はOK・キャッシュレス化を検討
おさらいすると、タクシーを利用される際は、
- できるだけ、万札は出さないようにしていただければ言うことはありません。
- 最初に乗込まれたときに支払い方法を言っていただけると、運転手は好感が持てます。
- 万札しかない場合、最初にそのことを言って運転手の態度が悪ければ「結構です。降ります」と言って別の車両に乗るのもひとつの方法です。謝ることはないですが、運転手を気遣う言葉があると良いです。
- 五千円札でのお支払いは大歓迎です。(万札を出されると五千円札は釣銭として出ていくので)
- 今後の時代の流れに乗って、キャッシュレスでの支払いを検討しましょう。
タクシーを利用されるときに万札で支払うのは非常識ではありません。サービス業である以上、釣銭を準備しておくのは当然です。
ですが、店舗ビジネスと違いタクシーは万札で何回か支払われると、崩して釣銭を準備するひと手間がかかるのも事実です。
運転手も十人十色で様々な人がいるので、露骨に怒ったりする人も中にはいます。
よって、万札でのお支払いはできるだけ避けていただくのがベターかと思います。
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