乗務中にお客様から言われることはほぼ皆無ですが、私の職業を知っている友人知人等の第三者から、「タクシーって何で運転が荒いの?」と言われることがよくあります。
私も自社や他社の車両を見ていると、「運転荒過ぎと違うか?」と思うことがよくあります。
そこで今回は、「タクシーの運転が荒い理由」をドライバー目線で掘り下げます。
この記事に書いてあること
✅タクシーの運転が荒いのはなぜか?苦情を入れても改善されない理由と対処法を解説します。
タクシーの運転が荒い理由
当たり前ですが走行中のタクシーは・・・、
- お客様を乗せているとき(乗車・賃走中)
- お客様を乗せていないとき(空車or回送)
の2通りしかありません。このときのドライバーの心理状況を解説します。
お客様を乗せているとき(賃走)
賃走中
お客様を乗せているとき(賃走中)は、粗暴な荒い運転はご法度です。
プロドライバーとして、お客様ファーストに徹し、お客様にとってストレスのかからない、「G(重力加速度)」のかからない運転をしなければなりません。
ただ、賃走中でもドライバーの性質や癖が出ます。
個人差はあれど、お客様にご乗車されると、「少しでも早く目的地へ着けてあげたい」という心理が働きます。
よって、例えば、街中の片側3~4車線の道路でも、お客様ファーストを前提として、できる範囲でクルマの少ない車線を縫うように走行するドライバーもいます。
そのようなことをしても到着時間は大して変わりませんが、スピードはさほど出ていなくてもこのような運転をすると、周囲からは運転が荒いとみなされても仕方がありません。
ですが、各々ドライバーにより異なりますが概ね、お客様を乗せているときは、第三者が見てもそんなに運転が荒い印象は受けないと思います。
お客様を乗せていないとき(空車or回送)
空車中
問題は空車中のときです。空車中はお客様を乗せていないので、どのような運転をしても構いません。
お客様に降車していただいたあと、駅等の待機場所に戻るときなど、1秒でも早く戻りたいという心理が働き、荒い運転になるドライバーも多いです。
都市部では、利用者が多く「流し営業(路上でタクシーを拾おうとしている客を拾う)」ができるので、ドライバーや状況にもよりますが、荒い運転をせずに「流し」を意識して普通に走行することも可能です。
地方のタクシードライバー事情
しかし、クルマ所有が当たり前の地方では、地域にもよりますが「流し営業」が一般的でないところでは特に、少しでも早く待機場所へ戻らなくては売上にも影響するため、必然的に運転が荒くなりやすい傾向にあるのは事実です。
もちろん、個人差はあります。運転中に他の空車車両を見て「いくらなんでも飛ばし過ぎだろ!」と思うことも多々あります。
また、都市部と比較して地方でのタクシーの利用者数は少ないですから、限られたパイの中で客の取り合いになります。
タクシードライバーの多くは歩合制ですから、自分の給料に直結してきます。
一人でも多くお客様を乗せるために、なりふり構わず荒い運転でも待機場所に戻るのが、ドライバーの性とも言えます。
回送中
ドライバーは一日の稼働時間(拘束時間)が決められているため、その拘束時間内ギリギリまで乗務している場合、時間内に帰庫するため、飛ばしたり荒い運転をして会社へ戻るドライバーもいます。
賃走中の反動
また、賃走中は丁寧な運転を心掛ける反面、空走中はその反動で荒い運転になることも、ドライバーによってはあるかもしれません。
苦情やクレームはどこへ入れるべきか?
あまりに運転が荒過ぎたり、無理な割り込みをされた等でクレームを入れたいと判断された場合は、そのタクシー会社へ苦情を入れるのもひとつの方法です。
タクシーの運転が荒い場合の対処方法
その車両には、ボディーや行灯にタクシー会社が明記されていますので、スマホ等で調べた上で、タクシーのナンバープレートや車種、場所や車両番号を控えて、そのタクシー会社に通報するのも有効な手段です。
ただ、明らかに度を越した悪質な違反や運転等を除き、電話オペレーターは謝罪はするものの、結果として改善されないかもしれません。
本質的に、タクシードライバーの給料は歩合制で、お客様をひとりでも多く乗せたい気持ちがあるため、荒い運転をしてでも待機場所にいち早く着けたいと考えるのは当然の心理とも言えるからです。
まとめ:荒いかは人によるがひどい場合は会社へ通報
ドライバーの全てが荒い運転をするわけではありません。
自身の例でいうと、私もかつてはお客様に降車していただいたあと、脇目もふらず時には荒い運転をしてでも待機場所に急いで戻っていたこともありました。
しかし、事故やお客様とのトラブルをきっかけに、今はそのようなことをするのはやめました。
無線配車にしても乗り込みにしても、どのお客様に当たるかは全てが運であり、荒い運転をして待機場所に着けたところで、運である以上あまり意味がなく、なるようにしかならないことに気が付いたからです。
そして、タクシー会社の看板を背負っている責任感が芽生えて、金を稼がせてもらうことよりも(もちろんそれも大事ですが)、事故やトラブルなく安全運転で乗務するのが大切という結論に落ち着きました。
「タクシー運転手が荒い運転」をするのは、ある意味では仕方がない測面もありますが、度を越した運転マナーが欠落しているようなドライバーを見かけたら、遠慮せず会社へ通報していただければと思います。
現代の多くのタクシー会社の配車システムでは、お客様から電話が掛かってくるとその履歴が残りますので、看過できない場合は、上司や運行管理者から指導を受けることになります。
そのドライバーも、ある程度は改善されるかもしれません。
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