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沈黙のパレード・留美の嫉妬はなぜ?蓮沼に脅迫されたのは金銭だけ?

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映画

劇中では、留美の嫉妬が沙織の告白によりピークに達してヒステリーを起こし、思わず彼女を突き飛ばし、そこから悲劇が始まったのですが、やんわり伏線を張っていたとはいえ、なぜそこまで彼女に嫉妬していたのか?

原作では、留美の生い立ち〜メジャーデビューして結婚した経緯まで描かれており、身勝手な沙織の言動を許せなかったのも、ある程度理解できるのですが、映画版ではカットされていて、深みがないのも否めませんでした。

また、留美が蓮沼に強請られていたのは、金銭だけだったのか?なぜ「なみきや」で怯えていたのか?

そこで今回は、留美の沙織に対する嫉妬と、留美と蓮沼の関係について紹介します。

この記事に書いてあること

映画「沈黙のパレード」において、

✅映画版では省略された「新倉留美の生い立ち~直紀と結婚した経緯」

映画版と原作で、留美の沙織に対する嫉妬の描かれ方が異なる。

映画版ではカットされた「留美は蓮沼に身体を許した」

ことについて、紹介・解説しています。




沈黙のパレード・留美の嫉妬はなぜ?

最初に結論から言うと、映画版では留美の沙織に対する嫉妬を印象付けていますが、原作では嫉妬はしておらず、沙織に自分たちができなかった夢を押し付けることで、最終的に映画版と同様「馬鹿にしないで!」とブチ切れて全力で突き飛ばしたのですがあり、なぜそこまでに至ったのか?と疑問に思われた方もみえるのではないでしょうか。

原作では、留美の生い立ちや学生時代のことも描かれており、その結末へとつながるのも納得する内容となっています。

 

留美の生い立ち~並木沙織を育て上げるまで

留美の生い立ちから手短に紹介していきます。

 

留美の生い立ち

留美はあまり裕福ではない家庭で生まれ、父は個人タクシー運転手・母はスーパーでパート働き、アパート住まいで、隣のお姉さんからCDを譲ってもらい音楽を聴くのが好きな子で、中学生になるとピアノを続けているクミコという子と友達になる。

クミコとカラオケボックスに行き、留美の歌唱力に感心した彼女は「バンド(ユニット)を組もう」と誘われる。

ユニット名『ミルク』として、クミコが作曲したものを留美が歌詞をつけるというスタイルで、高校は別々になったものの『ミルク』の活動はコンテストやライブハウス等で継続していたが、クミコは大学進学のため受験勉強に専念し、やむなく解散。

 

留美は新倉直紀と出会う

留美の両親は大学進学を望んでおらず、そんな時使っていたライブハウスから連絡があり、女性ボーカルを探しているミュージシャンがいて紹介されたのが、それなりに音楽業界で名の通っていた新倉直紀。

「日本を代表する歌姫にする!」と断言したものの、メジャーデビューするもアニメのタイアップした曲がヒットしただけで、結局10年で活動停止。

引用元:映画「沈黙のパレード」

新倉は表舞台からは身を退き、留美は彼の生み出した楽曲を世間に認めさせられなかった自分を責めた。二人は結婚したが、子供はできなかった。

新倉は若い才能を発掘し育てるビジネスをするようになり、やがてダイヤの原石「並木沙織」に出会う。

引用元:映画「沈黙のパレード」

 

新倉夫妻は並木沙織を育て上げることに没頭

並外れた歌唱力で、留美は自分とは比べ物にならないと衝撃を受け、新倉もかつて留美を歌姫に育て上げることができなかったとの思いもあり、また留美の方も成長する早さも桁外れで、相当な情熱を沙織に注ぎ込む。

引用元:映画「沈黙のパレード」

留美も夫をサポートし、新倉直紀は沙織を異性として見ているわけではなく嫉妬など論外、デビューも決まる。

 

【映画】留美は沙織に嫉妬した理由を考察

映画版では留美は沙織に嫉妬している演出を意図的にしていますが、原作は嫉妬などしていないことがうかがえます。

映画版と原作の「留美の沙織に対する嫉妬」の違いについて紹介します。

 

沙織の才能

映画版では花木用のハサミを持って庭いじりをしているときに、浮かない表情をした彼女とそれを2階から見ている夫という構図を意図的に演出しています。

引用元:映画「沈黙のパレード」

これは、留美は沙織の才能に対して嫉妬していることを伏線として張り、全てを夫に話したあとで「お前の気持ちはわかったいた。苦しませた」と回収して、留美を守る方法を思い付き蓮沼を〇害することにつなげていく流れにしています。

引用元:映画「沈黙のパレード」

映画版では時短のために、手っ取り早く留美が沙織に嫉妬しているという構図にしたのかもしれませんね。

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新倉夫婦は子供ができなかったから

新倉夫妻は、「子供がいない自分達には沙織は娘のような存在」と言っていて、留美は好きな男ができてすぐに妊娠したことも、嫉妬した理由としてあったのかもしれません。

 

留美は歌手になれなかったと沙織に思わせた設定だから

映画版では、沙織が留美に、

  • 「レッスンは受けたが、自分には才能がなかった。CD(発売)も無い」
  • 「歌手になれなかったから嫉妬してるんでしょう!」

と、留美は沙織に自分の過去を知らせていなかったことで、歌手になれなかったと思い込み、嫉妬しているという演出にしています。

引用元:映画「沈黙のパレード」

 

【原作】留美は沙織に嫉妬していない

原作では、新倉夫妻は愛弟子の成長を心から喜び、自分達の宝が世界に衝撃を与えることを確信し、留美も毎日が楽しく、夫の沙織に対する情熱を見ていると幸せだったとあります。

つまり、留美は異性としても沙織に対して嫉妬などしていなかったのですが、なぜか映画版では脚本を「嫉妬」というキーワードにすり替えて「留美が沙織に嫉妬した」ことを印象付けています。

個人的な推測ですが、その理由は3つ、

  • 交際相手の高垣智也との関係性
  • 留美のヤバさ
  • 時間的な都合

があると思います。掘り下げて、紹介していきます。

 

高垣智也との関係性

新倉夫妻も「なみきや」の常連客として足を運んでおり、高垣智也ともそこで顔を合わせることも多く、沙織と彼は交際していること、高校を卒業した頃から肉体関係にあることを誰よりも早く察知していた。

引用元:映画「沈黙のパレード」

恋にうつつをぬかすのは、修行に身が入らないことが多く、生活面でも夫婦で厳しく管理してきた留美は、夫には内緒で交際を自粛するように注意するも、ズル休みをした日に街でラブラブな二人を目撃し叱責。

その後も練習を休む時は理由を問い詰め、出掛けると聞けば行き先を訊くなど、沙織に過剰ともいえる干渉をする。

ここわた
ここわた

このようなことがあり、突き飛ばされる直前聞き取りにくいですが「ストーカーに見張られてるみたい!!」と絶叫することになります。

 

留美のヤバさ

留美は人気のない公園に呼び出し、交際はほどほどにしてほしいと言うも、妊娠し高垣と結婚してデビューも歌もやめると言い出す。

留美「あなたのことなんかどうでもいい。私たちの夢はどうなるの!?」

沙織「どうして先生たちの夢を叶えてあげなければならないの?」「気持ち悪い!ストーカーに見張られてるみたい。息が詰まる」と発して、夫婦で命懸けで取り組んできたことをストーカー呼ばわりされて、理性が飛んで全力で突き飛ばした、とあります。

引用元:映画「沈黙のパレード」

映画版では「新倉先生の夢はどうなるの!?」に変更されていますが、夫を愛しているが故に、沙織の意思を尊重せず、自分のことしか頭にない留美のヤバさを「嫉妬」にすり替えていると考えられます。

また、このあたりを映像で表現しようとすると、やはり時間がかかることもあるのではないでしょうか。

「あなたのことなんかどうでもいい」と言っている時点で、理性と冷静さを失っていることがわかります。

ここわた
ここわた

映画版での沙織が最後に発した「新倉先生から夢を押し付けられ」は上記と似た表現ですが「留美さんからは嫉妬され」は原作にはありません。




沈黙のパレード・留美は蓮沼に脅迫されたのは金銭だけ?

留美が蓮沼に強請られていたことについて、映画版と原作では若干異なる表現にしていました。

ここでは、その違いについてまとめていきます。

 

【映画】1回につき100万円の金銭を要求される

湯川「蓮沼が要求してきたのは最初100万円」

内海「そんなの1回で終わるはずがありません」

と留美は強請られていたことを湯川に告白し、湯川と内海の間でわずか数十秒程度で表現していました。

引用元:映画「沈黙のパレード」

 

【原作】1回につき100万円の金銭+身体を要求される

 

1回につき100万円の金銭

原作では、「蓮沼が最初に要求してきたのは100万円」は同じですが、2回目も100万円で、しかも留美の名前で新たに銀行口座を作り、キャッシュカードと暗証番号のメモを蓮沼に郵送しろという無茶苦茶な要求をして、彼女はそれに応じた。

上記の通り、新倉直紀が元々資産家であったため、夫に黙って支払いに応じた。

ここでも蓮沼の狡猾な考えにより、高額な額を要求すれば夫や警察に相談するかもしれないし、留美が自殺するかもしれないとの考えから、払えない額ではない100万円という金額を要求した。

 

1度だけ身体も要求される

もうひとつ映画版でカットされていたのは、蓮沼は「留美の身体」を要求してきたことで、断ることなどできるはずもなく、1度だけ安ホテルの一室で、最低最悪の男に身を任せ、地獄の時間が過ぎるのを待ち、逃げるように帰り、本気で死ぬことを考えたとあります。

原作でも女性ボーカリストとして10年間芸能界で活動してきたのですから、容姿はそれなりによかったと思われ、映画版では檀れいさんが務めていますし、クズ男が身体を求めてきても何ら不思議はありません。

留美は夫に全てを告白したと言っていますから、この件についても訊いていると思われ、尚更蓮沼の〇害については、躊躇はなかったと思われます。

 

まとめ

最後にまとめると、

  • 映画版では、留美が沙織に嫉妬していたことを印象付ける演出にしている。

 

  • 原作はそうではなく、生活面も沙織を厳しく管理していた留美は、交際相手の高垣智也と恋仲になることで成長が止まり、一流の歌手にするという夢を果たせなくなるということに懸念を抱き、夫妻(特に留美)の夢を押し付けたことで、こじれてしまい悲劇を生んだ。

 

  • 原作には「留美の生い立ち⇒メジャーデビュー⇒新倉と結婚⇒並木沙織と出会い育て上げる経緯」も描かれており、映画版では時間の都合上カットされて、「留美が沙織に嫉妬した」演出にした方が時間短縮できたからと個人的に推測。

 

  • 原作では、留美は蓮沼に強請られて、1回につき100万円の要求に2回は応じて、1度だけ身体も求められ蓮沼と肉体関係を持った。

といったところでしょうか。

沙織は悲劇のヒロインになりましたが、高垣智也と恋に落ち、周りが見えなくなってしまい、また若さもあって、自分勝手でわがままな言動をしたがために、結果的に命を落とすこととなったのは、原作・映画版とも同じです。

沙織は多くの大人を動かし、もはや後戻りできないところまで来ていることが、全く理解できていなかったことが、稚拙だったと言うほかありません。

現実世界で当てはめると、各々が近しい人に相談していれば、このようなことにはならなかったのではと、教訓にもなります。

  • 並木沙織⇒妊娠したことを母親に相談していれば…
  • 新倉留美⇒沙織の様子を察知したとき、あるいは蓮沼から強請られたときに、夫に相談していれば…

色々な意味で、生きていく上で参考になることがたくさんある作品でもありますね。

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