「アウトレイジビヨンド」のラストシーンで、マル暴刑事の片岡(小日向文世)が、元山王会傘下組長の大友(ビートたけし)に、拳銃でこれでもかといわんばかりに、何発もの銃弾を浴びせ、撃ち○されて幕を閉じました。
大友は、1作目のラストでは片岡に連絡して逮捕させ、手柄を挙げさせるなど悪くない関係と思われていましたが、なぜこのような結末になったのか?
また、大友とのこれまでの関係性は?
1〜2作目とも、伏線は随所に散りばめられているのですが、登場人物が多く、初見ではややわかりにくいところがあるのは否めません。
そこで今回は、
1)「アウトレイジ ビヨンド」で、片岡が最後に○された(死亡した)理由
2)片岡と大友の関係性
について、考察も交えて解説します。
アウトレイジ・片岡(小日向)が最後に死亡したのはなぜ?
片岡が大友に撃ち殺されたということは、片岡は大友の恨みを買ったということに、他ならないのですが、なぜそうなったのでしょうか?
結論から言うと…、
片岡の裏の顔は山王会と癒着した悪徳なクズ刑事であり、内輪揉めを利用して傘下の大友組を潰させ、組長大友を逮捕し手柄を挙げ、その後は強大化した山王会を潰すため、片岡は暗躍して独自に奔走。
山王会は弱体化するも、今度は関西の花菱会が台頭し、手始めに大友の弟分木村(中野英雄)を、山王会の加藤(三浦友和)前会長の側近をそそのかし○害させた。
全てを見抜いていた大友は、韓国から急遽帰国し、弟分の敵を討つべく片岡を撃ち○した。
このようになります。
片岡が加藤前会長の側近をそそのかし○害させたから
つまり直接的には、弟分の木村の組事務所を手薄にさせ、加藤の元側近に○させたために、相当な怒りを持って大友が拳銃をぶっ放し○害したということになります。
大友は、以前から山王会のトップとも癒着して金をたかっていた片岡の本性を知っており、片岡とよく会っていた喫茶店で、彼が店を去ったあと、店ごと爆破されたことから、裏でつながっていたことは、明らかに認識していたでしょう。
そして片岡は、山王会、その後の花菱会を潰すべく、独断で動き回り、大友の恨みを買うこととなります。
片岡はクズ刑事で山王会と癒着していたから
もう一つ言えるのは、片岡は山王会と癒着していた悪徳なクズ刑事であったことも見逃せないところです。
1作目で山王会傘下の大友組を潰し、大友組長を自ら逮捕し手柄を立て、功績を挙げたことにより、片岡は出世したところで、エンディングになっていました。
つまり、裏では警察の内部情報を山王会に漏洩、便宜を図るなどして、その見返りとして金を貰い、持ちつ持たれつの関係を築く反面、狡猾に利用して山王会を弱体化させ、自身の評価を上げ、出世にも利用する悪徳刑事であることを強調しています。
1作目で、海辺の加藤会長の自宅?別荘?に赴き、片岡が幅を利かせて有頂天になっているところで幕を閉じましたが、2作目で調子に乗り過ぎてエンディングで消える伏線回収につながっているところも面白い脚本ですね。

引用元:アウトレイジ ビヨンド
片岡が山王会&花菱会を弱体化させるために弄した5つの策
では、「アウトレイジ ビヨンド」において、片岡が山王会、花菱会の弱体化を狙って実行したことについて、以下にまとめます。
山王会を弱体化させた3つの策
片岡は出世し直接関わらなくなったあと、山王会はトップが変わって、組織を大きくし政治家や役人を動かす程にまで手を広げるようになり、流石に警察も本腰を入れて潰しにかかることに。
片岡は再び現場復帰することになり、山王会を弱体化させるために奔走します。
- 山王会の古参幹部「冨田(中尾彬)」をけしかけ、関西の花菱会と結託させ、加藤・石原(加瀬亮)を引きずり降ろそうとする。

引用元:アウトレイジ ビヨンド
→結果的に目論見は外れるが、その冨田は○害されてしまい、幹部1人を消すことには成功するも、弱体化まではいかず。
- 刑務所に服役中の大友を、すぐに仮出所させるように動き、加藤・石原を○害するように焚き付ける。
引用元:アウトレイジ ビヨンド
- 元村瀬組の幹部木村(中野英雄)と大友をくっつけて共闘させ、山王会に振り回されたトップの加藤と、裏切った石原を狙わせる。

引用元:アウトレイジ ビヨンド
→結果的に、木村のツテで花菱会がバックについてくれることになり、花菱サイドも山王会を潰したい思惑が一致し、大友・木村&花菱会が結託し、山王会を弱体化させることに成功。
花菱会を弱体化させた2つの策
花菱会が、弱体化した山王会を吸収する形で勢力を伸ばしたことで、今度は花菱会を潰しにかからざるをえなくなる。
大友は、引退した加藤を○害してけじめをつけたあと、組を持たず韓国に渡り、木村が花菱傘下の組を持ち、「木村組」として出世。
- 加藤の元側近(ボディガード)と接触し、組事務所を手薄にした状態で襲撃させるように、段取りをする。
引用元:アウトレイジ ビヨンド
→目論見通り、木村組を潰すことに成功。
木村の葬儀は、どこかの寺で執り行われ、片岡は大友に連絡し、目立たない裏口の階段から来るように促し、大友に花菱の幹部を襲撃させるため拳銃を手渡した。
引用元:アウトレイジ ビヨンド
→その銃で至近距離から撃たれることに。
また、丸腰で片岡の誘いに乗り、人目に付かない入口から来たところから推察すると、片岡を殴り○すつもりだったのかもしれません。
アウトレイジ・片岡と大友との関係性
大学時代、片岡と大友は同じボクシング部に所属し、大友が先輩、片岡が後輩の間柄で、1作目でボクシング経験者である演出を、小競り合いの中でしており、ヤクザである大友が圧倒的に強く、武闘派としてのし上がり子分を集めた印象です。
引用元:アウトレイジ ビヨンド
ここわた
また、1作目の終盤に片岡と大友がいつも会う喫茶店で、片岡が大友を殴るシーンは、これまでやられっぱなしであったが、加藤会長の手下に手榴弾で店ごと爆破して大友を○すことを事前に知っていたからこそ、今までの鬱憤を晴らすつもりでした行為であったと思われ、マル暴らしく迫力があった演出でした。
引用元:アウトレイジ ビヨンド
それが原因で大友はトイレの鏡で顔を見ているときに、手榴弾を投げこまれて、一命を取り留めたのですから、片岡の知らないところで大友を助けた形になり、皮肉な結果となりました。
引用元:アウトレイジ ビヨンド
ここわた
まとめ
最後にまとめると、
片岡は、「山王会・花菱会・大友・木村」の間を行き来し、山王会と癒着し金銭を受け取り便宜を図りつつ自身の出世にも利用、その反面刑事としてはそれらを潰しにかかり、台頭してきた花菱会を弱体化させるため、山王会の加藤元会長の側近をそそのかして木村を○害させたことで、大友の恨みを買い○された。
大学時代に同じボクシング部に所属し、大友が先輩で片岡が後輩の間柄で、大友が圧倒的に強く、マル暴刑事とヤクザという立場になっても、関係性を持っていた。
といったところでしょうか。
アウトレイジのストーリーで片岡は重要な役どころで、主演クラスの俳優がひしめく中、脇役として存在感のある演技は、とても印象に残ります。
また、片岡が大友に銃を手渡し撃たれる直前、「え?」と言って銃弾に倒れた最後のセリフは、まさかバレていると思いもよらずに出た言葉で、演出かアドリブかはわかりませんが、ヤクザを翻弄した刑事にふさわしい最期が、とても印象的でした。
ここわた

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ここわた
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