タクシーに乗車されたお客様から、乗車中またはお支払い時に「3時間後に迎えに来てほしい」とか「明日の9時に予約を取りたい」などと言われることが時々あります。
個人タクシーはその日時に予約が無ければ、その場で承ることは可能ですが、法人タクシーは、その運転手個人の対応にもよりますが、お断りすることもよくあります。
- 以前乗ったタクシーは予約してくれたのに…
- 予約取れないのだったら、他所に頼む。
- めんどくさいなー。
などと、不満を口にする方もいます。
そこで今回は、お客様がタクシーに乗車されたとき、車内で予約を断られることもある理由を、現役ドライバーが解説します。
タクシー車内・乗車中に運転手へ予約できる?
タクシーに乗車されて、お客様の予定が決まっていて、この日時に迎えに来てほしいということも、よくあることでしょう。
乗客の立場からすると、「運転手に伝えておけば、希望通りに来てくれるはず」と思う気持ちは理解できますが、運転手の立場からすると、現実的には難しいと言わざるを得ません。
その理由を解説していきます。
車内で運転手に予約をしようとしても断られる理由
車内で運転手に予約をしようとして断られる理由として、以下のことが挙げられます。
運転手は会社内の予約状況を把握していない
運転手は、会社内の予約状況に関しては把握しておりません。
ですから、お客様の希望の日時に予約が取れるかどうかは、運転手もわからないのです。
例えば、
- その日時には、既に予約が入っている。
- その時間帯は、交代勤務の入れ替えわりのタイミングで車両台数が一時的に減少する。
- 休暇を取っている運転手が多く、車両確保が困難。
- 講習や会議、健康診断などで車両が少ない。
などの社内事情も絡んだ上で予約を取る取らないを判断しており、必ずしも希望日時に予約が取れるとは限らないのです。
お客様のご予約に運転手が介入すると「行き違い」が起こることも
「行き違い」というのは、『意思疎通がうまく取れない・食い違う』という意味でもありますが、
お客様が運転手に予約を頼んだつもりでいても、その言い方によっては運転手は予約を受けたつもりではなかったり、日時や場所が間違っていたりと、お客様と運転手の間で、意思疎通がうまく取れないこともあります。
そのようなケースでは、
「あの○○という運転手に予約を頼んだのに、なぜ来てくれないんだ!」
というクレームに発展することもあります。
このようなトラブルを回避するための意味合いも理由のひとつです。
よって、
「お客様のご予約に運転手が介入すると、ろくなことがない」というのが運転手の定説です。
お客様の名前・携帯番号・日時・場所を聴き取る手間が生じる
車内で予約をされることになると、運転手は以下の手順を踏むことになります。
- お客様のお名前や携帯番号、ご希望の日時・場所を聴き取る
- 運転手の携帯電話から会社へ電話をし、予約したい日時に可能かどうか確認する
- ご希望の日時に予約が取れない場合は、再度お客様にお伝えして動向を窺う。
文章で記すと短いですが、想像していただくと何となくわかると思いますが、このやりとりは、予約を取る側の配車センターからすると、運転手とお客さんとの間で「また聞き」になり、運転手からすると相当面倒なことになり、時間もかかります。
お客様のタクシー利用はご自身で会社と直接交渉するのが基本
運転手に予約を頼んで断られると、あからさまに嫌な顔をされたり、不満をぶつけてくる方もいますが、お客様がタクシーを利用したいのですから、ご自身でアクションを起こし、タクシー会社に電話を入れて予約を取るのが基本です。
稀に怒って、
「それなら、他所に頼むわ!」
と捨て台詞を言い残して降車される方もいますが、結局他所に頼むにしても自分で電話をするのですから、同じことです。
運転手の携帯電話を使わなければならない
お客様が車内で予約を取るということは、運転手が自分の携帯電話を使って会社に連絡を取らなければならないということです。
無線もありますが、フリーに話せる電話と違い、無線は交互の交信になるため、言葉数が長いと時間もかかり、場所によっては雑音が酷かったり、聞き取りにくいこともあり、日時や場所の間違い・勘違いが起きることもありえます。
運転手の心理・気持ちとしては、今どき携帯電話・スマホなど誰でも持っている時代に、
- 自分の携帯電話代を使ってまで、なぜ客の予約を取ってやらなければならないのか?
- タクシーを利用したいのであれば、自分で電話して頼めよ!
となります。
運転手もそれぞれなので、自分の携帯電話代など気にしない方もいますが、個人的にはそこまでして親切にする必然性もないという考え方です。
車内で予約ができるケース
例外として、車内で予約ができるケースとしては、以下の例が挙げられます。
僻地・辺鄙な場所
地方の片田舎で、僻地・辺鄙な場所でのお迎えを頼まれた場合は、ケースバイケースですが予約を承ることもあります。
管理人は地方に住んでいますが、月に数回片田舎の駅に、待機することがあるのですが、近くに標高数百メートルの山があり、頂上付近のとある設備へメンテナンスに行く技術者の送迎では、番地もなく、他の車両に来てもらうにしても場所が特定しにくいようなところでは、会社へ報告して予約を自分が受けることもあります。
携帯電話を持っていないお年寄り
最近はお年寄りの方も携帯電話を持っている方が大半ですが、稀に携帯電話・スマホを持っていないお年寄りに限って、ケースバイケースで予約を取ることもあります。
お年寄りが携帯電話を持っていない場合は、行き先は大抵が病院やスーパー、金融機関が多いので、その施設の人にタクシーを呼んでもらって下さいと、お願いすることが多いです。
よくご利用されている常連のお客様
そのお客様にもよりますし、運転手個々の対応にもよりますので一概には言えませんが、よくご利用されている常連のお客様に関しては、ケースバイケースで予約を承ることもあります。
タクシー車内・乗車中に予約を断られた場合の対処法
やはり、お客様ご自身がタクシーを利用したいのであれば、めんどくさがらずにご自身でタクシー会社に電話をされるのが確実です。
もし、希望通りの時間に予約が取れない場合は、時間を多少前後にずらすとか、どうしてもその時間でなければならないときは、他のタクシー会社に問い合わせるなど、自分のことは自分ですべきです。
タクシー会社によっては、社内規定により、タクシー車内でのご予約は、原則トラブルを避けるため受けないように指導している会社もあります。
冒頭でも触れましたが、
「以前利用したタクシーは、車内から電話して予約を取ってくれたのに…」
などと不満を口にされる方もみえますが、以前利用したタクシーがどうしようがそのようなことは、運転手個人には関係ありません。
あなたが利用したいのであれば、あなた自身で交渉し予約をして下さいということです。
タクシーアプリGOで予約も可能
管理人が所属するタクシー会社は、GOアプリを導入していますが、2020年11月から「希望日時配車」という機能が追加され、『東京都、神奈川県、大阪府、京都府、兵庫県、北海道、宮城県、千葉県、埼玉県、愛知県、福岡県』にて、サービスが実施されています。
(スマホ画面右下に表示されます)
希望日時配車⇒25分後~7日後まで指定可能
希望日時配車は25分後~7日後まで指定可能で、運営会社が蓄積してきたタクシーデータを踏まえ、AIにより注文枠数を調整、エリアや時間帯の動向を予測して、適切に配車するシステムです。
但し、2021年4月現在、GOアプリ全ての対応エリアで「希望日時配車」ができるわけではありませんので、ご注意ください。
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このように、タクシーアプリからも予約が可能になってきました。
【東京近郊の方はこちらのアプリもおすすめ!】
東京近郊の方は、こちらのタクシーアプリ「S.RIDE」もおすすめで、ソニーグループがAIとIT技術を活用して開発したタクシー配車アプリです。
東京都内のタクシー3台に1台が対応しており呼びやすく、他にも、神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県・宮城県・愛知県・大阪府・宮崎県の各府県一部のエリアでも、タクシー会社と提携しています。
こちらのアプリも、エリアによっては予約ができないこともあります。
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まとめ:タクシー車内で予約はできないことも多い
最後にまとめると、
【タクシー車内では予約ができないことが多い理由(概ね以下の5つ)】
①運転手は予約状況を把握していない。
②お客様のご予約に運転手が介入すると「行き違い」が起こることもあり、トラブルにつながることも。
③運転手は、お客様の「名前・携帯番号・お迎え場所・日時」を聴き取らなければならない。
④その聴き取った情報を会社(配車センター)に伝え、お客様と会社の間に入って「また聞き」の状態で、予約が取れるかどうか確認することとなり、手間と時間がかかる。
⑤今どき携帯電話など誰でも所持している時代で、運転手が自分の携帯電話代を使ってまで、乗客の予約を取る必然性がない。
- また、車内で予約が取れるケースもあるが、運転手により対応は異なる。
- タクシー会社によっては、社内規定で、タクシー車内での予約は原則受けないことを指導していることもある。
- タクシーを利用したいのであれば、ご自身でアクションを起こして予約していただくのが確実。
- タクシーアプリGOは、25分後~7日後まで希望日時配車の指定が可能、DiDiは、30分後~2日後まで予約配車が可能で、スマホアプリを利用して予約するのもひとつの方法。
といったところでしょうか。
実際に数年前、管理人ではありませんが、タクシー車内で予約を取ろうとした乗客がいて、そのお客は運転手に言って予約を取ったつもりでいたのが、行き違いがあったようで、予約は取れておらず、
「あの運転手に言っておいたのに、迎えに来ないとはどういうことだ!」
とトラブルに発展したケースがありました。
このように、運転手はトラブルに巻き込まれたくないので、
「車内で予約はできません。ドライバーは予約状況を把握しておりませんので。ご予約はお客様ご自身で、事務所と交渉して下さい」
とハッキリ言うようにしています。
タクシー稼業は、事故とトラブルを避けるのが大前提で、売上も大事ですがそれは二の次。
自分に火の粉や責任がかからないように、自分を守らなければ誰も守ってくれません。
運転手によっても対応は異なりますが、車内で予約を取ろうとしたときに断られたら、ご自身で予約を取る対応を素直にしていただけると幸いです。
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