タクシー運転手をしていると、他所から来られた方や地元の方に限らず、「美味い店に連れて行ってほしい!」と言われる方も時々みえます。
運転手にもよりますが、行き先を委ねる「運転手におまかせ」の場合、新人でなくとも内心は困ることも多いのが本音です。
そこで今回は、タクシー利用者や一般の方が思われている「運転手は本当にうまい店をよく知っているのか?」など、よく地元のことを知っていると思われていることについて、私見を交えて解説します。
タクシー運転手にうまい店を訊けば知っているのか?
結論から言うと、必ずしも詳しい人ばかりとは限りません。
運転手になって1年未満くらいの新人さんは別ですが、数年この仕事をしていても、知らない店などたくさんあります。
まして飲食業界は、新規に出店または閉店することも頻繁にあり、店舗の業態は同じでも経営者が変わって店名が変わることなども珍しくありません。
地元のことを何でも知っているわけではない
世間一般からすると、タクシー運転手は地元のうまい店、おすすめの店をよく知っていると思われている方も多いと思いますが、実際は運転手個人にもよるとはいえ、実はそうでもありません。
ある程度は知っていますが、お客さんから「おすすめはどこ?」とか「そこは美味しいの?」とか言われると、めんどくさいなと思うのが正直なところです。
特にこちらが提案した飲食店で、「そこは美味いの?流行ってるの?」とか何度も聞いてくるお客さんが時々いるのですが、
「そんなに気になるのなら、スマホで食べログとかで調べとけよ」
って内心思い、自分が入ったことのない店でも、潰れてないということはそれなりに客が入っているということなので、適当に「おいしいです」とか「人気店です」とか知りもしないのに言うこともよくあります。
「乗客の指定する目的地へ送り届ける」のが運転手の仕事なので、行き先・目的地を指定されずに、運転手側が考えなければならなくなるのは、サービス業とはいえ結構面倒なことでもあります。
定休日や臨時休業のケースもある
まして、曜日によっては、定休日や臨時休業のケースもあります。
先日、他県から出張で待機場所近くのビジネスホテルへ宿泊されている方2名で、居酒屋へ無線配車でお迎えに行ったときに、「近くで、若いおねーちゃんがいる店へ連れて行け」と言われました。
その近辺には、キャバクラや女性の接待系の店などはなく、スナックが数軒ある程度。
しかも日曜日の夜9時頃で、日曜日の夜はスナックも休業日にしているところも多く、雑居ビルにスナックが入っているビルが2か所あり、そこへ行っても大方休みで、開けているお店は店主がおばちゃんひとり。
3か所回って、おばちゃんひとりのお店でようやく納得し、降車されました。
居酒屋で飲んで酒が入っているので、どこも開いてないやないか!と怒り出す始末。
「日曜日の夜は休みのお店が多いので仕方ないです」
と言っても、酔っ払いは当然のごとく聞く耳を持たず。
このような一見客で他府県から出張で来ていることが明らかな場合で、酒が入っているとはいえ態度が悪い客には、運転手もそれなりの接客や対応しかしないかもしれません。
行き先の店は事前に調べておくのがベター
夕方6時前後にビジネスホテルへ無線配車でお迎えに行くと、出張者数名で居酒屋や焼き肉店へ行かれる方が多いのですが、このような方は行き先を事前に調べている方も多いです。
今はスマホで簡単に調べることが可能なので、行き先が決まっている場合はそこへ行くまでの道順さえ考えればいいだけ、定休日ではないことも調べた上でのことでしょうから問題ありません。
調べずに運転手にお任せの場合は、管理人はまずチェーン店を提案し、それを嫌がる場合は地元で流行っている店舗を提案しています。
チェーン店であれば、安心して紹介できますし、定休日が何曜日か覚えておけば、臨時休業で休みということもほぼありません。
ただ、チェーン店は他のエリアにも店舗があるため、出張が多い方には敬遠されることもよくあり、地元の店をその後提案することにしています。
あと、これも運転手にもよりますが、できるだけ近くの店舗から提案していくことが多い傾向になると思います。
このような客は、土地勘が無いので多少距離の出るところだと、料金高いとか遠回りしたのと違うか?などと言ってくることもあるので、乗客が何も言わなければ近いところで提案することが、管理人の場合は多いです。
行き先を決めてからタクシーに乗りましょう
ある程度の年数運転手をしている人なら、飲食店のおすすめだと、お寿司屋は○○寿司、ラーメン屋は□□亭か△△屋など、ある程度はパッと思い浮かぶものですが、スマホで簡単に調べられる時代ですから、事前に行き先を決めておきましょう。
タクシー運転手に美味しい店を紹介してもらう方法
では、一見の乗客があまりその土地や店を知らない場合に、運転手に美味しい店を紹介してもらうにはどうすればいいでしょうか?
横柄な態度は論外
当然ですが、横柄な態度や言葉遣いは、そのままお客様に返っていきます。
要は、人対人の仕事なので、態度が悪い乗客にはそれなりの接客しかしません。
「運賃さえ支払ってもらえればそれでいい。客が行き先の店舗に納得さえしてもらえればいいので、美味しい店とか、いい店、穴場の店など紹介する気にもならない」
と思われないようにすることです。
酒が入っていようとも常識的な態度であれば何の問題もありませんが、例えば横柄な態度の客と紳士的な振舞いの客と、どちらを贔屓するかは…。
ということです。
運転手に希望や知っていることを伝える
例えば、
- 居酒屋・焼肉屋・和食・韓国料理・ろばた焼・寿司屋・鰻など何が食べたいのか?
- チェーン店ではない、この近くで繁盛している店ならどこでもいい。
- Barへ行きたい・普通のスナックではなく、カラオケがメインのスナックへ行きたい。
など希望を明確に伝えると好感が持てますし、それに沿って運転手は提案するものです。
逆に「どこかいい店ないか?」とか「どこか美味いもんが食える店へ連れて行け」と漠然としていると、運転手側から乗客に希望を聞き出さなくてはならず、時間もかかるわでめんどくさくなります。
「こっちはカウンセラーじゃねぇんだよ。今どきスマホなど誰でも持っている時代に、自分で調べろよ」
と内心思っているかもしれません。
こうなると、近場で適当なところへ送って行って早く片づけたいと思い、親身になって紹介しようと思わなくなることもあります。
タクシーの予算やエリアを相談する
例えば、
- 同じ市内でも、繁華街が2つある場合はどちらかを指定する。または相談する。
- 片道5,000円くらいまでのところで、焼肉店で美味しい店に連れて行って!
- この近くで2,000円くらいのところで!
などと、エリアやタクシー運賃の予算を指定すると、運転手もどこそこと提案しやすくなります。
まとめ:タクシー運転手は美味しい店を必ずしも知っているとは限らない
最後にまとめると、
- タクシー運転手は、美味しい飲食店を必ずしも知っているわけではない。
- 「どこか美味い店に連れて行って」と聞くのはOKだが、できるだけ自分で調べてほしいのが本音。
- 人対人の仕事で横柄な態度は厳禁。そのような態度を取れば、運転手もそれなりの適当な接客しかしないと思って差し支えない。
- わからないことや希望があれば、遠慮なく運転手に聞く。
といったところでしょうか。
スマホがあれば文字入力せずとも音声で、わからないことを調べることが容易にできます。
職場の先輩ドライバーでも、いまだにスマホではなく、旧世代のガラケーを持っている人も少なくありません。
また、全国津々浦々のタクシー運転手は、その地元に詳しいのが当たり前と思われていますが、もちろんある程度は知っていますが、どこの店が良くてどこの店が悪い、夜のお店でかわいいコがいるのはどの店などと、細かいことまで全て把握しているわけがありません。
自分でスマホを持たず、または使いこなせず、運転手に横柄な態度で聞き、よく知らないと答えると、
「運ちゃんのくせに、知らんのか?お前どこの者や」だの「何年やっとるんや?」だの言われて、口には出しませんが、まともな接客などするはずがありません。
「金さえ支払ってもらえれば、お前のことなんか知ったこっちゃねーわ」となり、親切心で紹介する気も失せて、自分にブーメランとしてその態度の結果が返ってくることになります。