「劇場版名探偵コナン 業火の向日葵」で、終盤コナンが工藤新一の声で謎解きを始めて犯人を追い詰めるのですが、犯人の犯行動機に関しては、「ゴッホの向日葵を愛しているが故、2枚目と5枚目を燃やして消失させたかった」という、視聴者にとって極めて不可解な内容でした。
その動機に至る理由について、劇場版ではカットされていましたが、ノベライズ版ではもう少し詳しく描かれています。
そこで今回は、「名探偵コナン 業火の向日葵」で犯人の動機について、また劇場版ではカットされたシーンについて掘り下げて紹介します。
※ネタバレを含んでいます。
この記事を読んでわかること
✅「名探偵コナン 業火の向日葵」で、劇場版ではカットされていた
- 犯人の動機とそれに至る理由
- 犯人を示唆する伏線を張っている2つのシーン
について、ノベライズ版をもとに紹介しています。
コナン業火の向日葵で犯人の動機とその理由【ノベライズ版】
犯人の動機として「ゴッホの向日葵を愛しているが故、2枚目と5枚目を燃やして消失させたかった」のですが、『工藤新一』が犯人を暴くシーンにおいて、ノベライズ版ではその理由について犯人のなつみが3つのを主張しており、「七人のサムライ」メンバーである、石嶺・圭子・久美子の絵画に詳しい3名が猛反論しています。
ノベライズ版において、なつみの主張とメンバーの反論についてまとめます。
5枚目の向日葵は絵の具が分厚い
【なつみの主張】
ゴッホは描いた絵がたまると、それらを丸めて弟のテオへ送っていたが、「5枚目」は絵の具が分厚く、丸めたらヒビが入るはず。
だが「5枚目」はヒビ割れが少ない!
【石嶺と圭子の反論】
- 5枚目もヒビ割れはあったはず。
- 絵の乾き具合いによっては、ヒビ割れないこともある。
引用元:劇場版名探偵コナン 業火の向日葵
「芦屋」と「5枚目」は40号でサイズが大きい
【なつみの主張】
「芦屋」と「5枚目」は40号でサイズが大きく、この2枚とも微妙にサイズが異なる。
木枠は30号サイズであり、お金がなかったゴッホがサイズの大きい木枠を作るなんておかしい!
引用元:劇場版名探偵コナン 業火の向日葵
【圭子の反論】
- 「5枚目」は元々30号のサイズで描かれていたが、あとで第三者がキャンバスを継ぎ足して40号にした。
弟テオへの手紙に「5枚目」の記述がない
【なつみの主張】
弟テオへの手紙には5枚目の向日葵についての記述がない。だから「5枚目」はゴッホが描いていない!
【石嶺と久美子の反論】
- ゴッホはアルルで描いた全ての作品を、手紙に書いたわけではない。
- 最初から誰かにあげるつもりだったという説もある。
- 入院していた時期で、書けなかった可能性もある。
引用元:劇場版名探偵コナン 業火の向日葵
このようにノベライズ版においても、なぜ2枚のゴッホの絵を燃やそうとしたのかと問い詰められて、「贋作かもしれない」理由を述べているのですが、他の学芸員にことごとく反論されています。
2枚の向日葵は鑑定により本物と証明されているのに、贋作と勝手に思い込み、それを燃やして消失させるという、意味がよくわからない動機で、『何それ??』というのが、率直な感想です。
劇場版でカットされたノベライズ版の3シーン
ノベライズ版を読むと、劇場版ではカットされていたシーンは大きく分けると3つあります。
- 東都プラザホテル1412号室での事件検証を警察で会議。(丸ごとカット)
- 次郎吉邸に少年探偵団が出向き「向日葵展」のチケットをねだる。(一部カット)
- 工藤新一が、なつみの犯行を暴く。(一部カット)
3.については上記で述べていますので割愛し、1と2.については、なつみの犯行や動機につながる伏線が張られていて、物語上結構重要なシーンと見受けられます。
では、この2つのシーンについて解説していきます。
東都プラザ1412号室での事件検証を警察で会議するシーン
東都プラザ1412号室でキッドが仕掛けた事件について、翌日警視庁の会議室に次郎吉・チャーリー・小五郎・館長・コナンが呼ばれて、会議が行われるのですが、劇場版では丸ごとカットされています。
要約すると以下の5つ。
- 窓枠に目張り、ドアと床の隙間をゴム板で塞ぐことで、短時間で密閉空間にした。
引用元:劇場版名探偵コナン 業火の向日葵
ホテルの客室ドアはバリアフリーが当然なのに、現金を並べていた刑事さんは気付かなかったのでしょうか?
- 「客室の気圧」に気付いた件は、コナンの気持ちをくみ取り、チャーリーは自分が気が付いたことにした。
- コナンは、キッドが金目当てではないと勘づく。
- 向日葵を隠していた絵「最後の晩餐」は、元々ホテルが飾っていなかった上、横方向に長く大きくて不自然。
- 5枚目が盗まれたとき、美術館の地下金庫の防犯システムがハッキングされていたことが発覚。
伏線回収と物語の展開上、重要なところは「最後の晩餐」の絵と地下金庫の防犯システムがハッキングされていたことで、下記に詳細をまとめます。
「最後の晩餐」の絵が飾られていたのは?
レイクロック美術館で、工藤新一に成りすましたキッドが12使徒「裏切者のユダ」を暗示させる謎めいたカードを落としていき、関係者内部に犯人がいることを知らせたのですが、その前に1412号室に「最後の晩餐」を貼り付けたのは、それを気付かせるために伏線を張っていたことになります。
引用元:劇場版名探偵コナン 業火の向日葵
警察での会議の様子が全カットされていたため、伏線を張るインパクトが弱く、ゴッホの向日葵や最後の晩餐を詳しく知らない視聴者は、急に「裏切者のユダ」って何?って思われた方も多かったのではないでしょうか?
地下金庫の防犯システムがハッキングされていた
キッドは予め、地下金庫の防犯システムをハッキングしていたことが、その後の調べで発覚。
小五郎に予告状を送り付けたのは、警戒して損保美術館の地下金庫に保管されるであろう「5枚目」を盗み出すために、防犯システムをハッキングしていたということになり、一同は賛同する。
引用元:劇場版名探偵コナン 業火の向日葵
キッドは地下金庫から盗み出すつもりでいたが、なつみが小細工をして自分の工房に持ち帰るという強硬手段に出たため、警備員に変装して紛れ込んでいたキッドは、その場で急遽正体を明かし強奪することに。
警備員に変装したキッドは、なつみが犯人だと知っているので、なつみの言動をチェックしている様子が、目線から確認できますね。
引用元:劇場版名探偵コナン 業火の向日葵
また、偽者にすり替えられた可能性があるため、なつみと東幸二の鑑定に時間がかかり、結果としてチャーリーが「予告通り、夜に盗みやがった!」という発言に至ります。
このときコナンは考えを巡らすも、キッドとなつみのはかりごとに気が付いていません。
犯人を示唆する伏線としては、とてもいい会議のシーンだと思いますが…。
時間の制約でしょうか、カットされてしまったのは残念です。
次郎吉邸に少年探偵団が出向き「向日葵展」のチケットをねだるシーン
劇場版でも確認できますが、会議テーブル前の大型モニターには7枚の向日葵が映し出されており、灰原はそれらの絵を見比べて、花瓶にゴッホのサインがある絵とない絵があることに気が付きます。
それがきっかけで、なつみが1枚目・2枚目・5枚目の向日葵にはサインがなく、それらは偽者だという説があることを子供たちに伝えた…。
引用元:劇場版名探偵コナン 業火の向日葵
ところが他の学芸員に、子供たちに不確かな説を教えるのはよくない、他の説もあるなどと、猛反発を喰らうこととなり、熱くなった彼女らを少年探偵団がたしなめて、コナンと灰原も贋作であればサインも真似するのでは?といぶかしがります。
時間的な制約ともうひとつ、犯人を示唆する伏線としては、わかりやすすぎることも一部カットされた原因ではないでしょうか?
業火の向日葵で犯人の動機についてSNSでの評価
この作品の「犯人の動機」に関して、SNSではどう評価されているのか、一部ですが紹介します。
リングフィットで走りながらコナンの「業火の向日葵」を見てたんだけど、犯人の動機が意味わからなすぎて pic.twitter.com/giCHDsFFZI
— ずっき@領域ZERO (@zukky_areazero) July 30, 2020
『名探偵コナン 業火の向日葵』鈴木財閥の圧倒的財力、身内の圧倒的コネ、蘭のチート怪力あってこそ成り立つ今作。キッドは相変わらずイケメンだけど、肝心の事件が動機も含めてびっくりするほどショボい!これは辛い! pic.twitter.com/1OGlAgiJn9
— わさちゃち (@wasaCHachi) April 5, 2016
「探偵コナン 業火の向日葵」
名探偵コナンシリーズの脚本のプロット、トリック、伏線、映画として全く素晴らしい出来だ‼️(b゚v`*)でも今回は真犯人の動機が…(´・д・)何だか曖昧というか、なんかしっくりこなかったな…(ノд-`) pic.twitter.com/IoxJOsiDbJ— 官能小説家へべれけ@社会復帰への道 (@tanikaze_hebere) April 29, 2015
自宅での今年33本目の映画として2015年公開の『名探偵コナン 業火の向日葵』鑑賞。
劇場版コナンの19作目。
コナンと怪盗キットとの連携は楽しいし、キットが出てくるとアクションも派手になり盛り上がります。
でも、今作のストーリー面の粗さはちょっとなぁ。
特に動機の説明不足感は酷かったです。 pic.twitter.com/B6qrrpqudg— tetu (@tetutetu1962) April 15, 2021
コナン映画見ながら梱包作業してた
異次元のスナイパーも業火の向日葵も結構面白かった!しかし、初期は動機もしっかりしてたからなぁ…そこだけ少し物足りないけどでもおもろい
— 星野哲彦 (@john_akaten) April 24, 2018
…など、ツイッターをチェックすると、いいところもたくさんあげてみえる方も多いのですが、「 犯人の動機」に関しては、酷評されているといっても過言ではありません。
最初にツイートされている方で、画像を引用されていますが、
『ちょっと、何言ってるかわからない!』
が視聴者の率直な感想ではないでしょうか。
まとめ:犯人の動機は意味不明・ノベライズ版から3シーンがカット
最後にまとめると、
- 「名探偵コナン 業火の向日葵」で、犯人の動機やその理由については意味不明で、SNSでもそれに関しては酷評する意見が多い。
- 劇場版では時間的な制約?から、犯人の動機が語られるシーンを含めて大筋3つのシーンがカットされていることが、ノベライズ版から読み取れる。
- 犯人を示唆する伏線を張っているシーンがカットされており、謎解きを主眼に置く作品としては、物足りない印象。
といったところでしょうか。
年に1度の劇場版で、犯人の犯行動機やその理由として、ノベライズ版から読み取っても、薄っぺらくて、納得する、しっくりくるものではなかったと、個人的には思います。
絵画の専門家・学芸員が、かなり無理がある勝手な思い込みにより、ゴッホが描いた本物の絵を燃やすという愛しすぎた故の衝動は、理解に苦しみ、「何?その動機?」と思われた方も多かったのではないでしょうか?
劇場版恒例のクライマックスシーンでのハラハラドキドキ感は、予定調和といえど惹き付けられるものもありましたし、エンディングの楽曲と映像もカッコよかったです。
ゴッホの向日葵を扱い、どこまでが真実でフィクションかはよくわかりませんが、従来の作品とは毛色が違う趣向で力作感があるだけに、少々もったいなかったと思います。